EDINETで有価証券報告書を見よう!

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日本国民共有の財産であるEDINETを活用し「有価証券報告書」を見ることの勧め

EDINETという仕組みは、法令に基づいて金融庁が主管して続けられている仕組みである。そこに企業が義務付けられている「有価証券報告書」は情報の宝庫にも関わらず、あまり知られていない。しかし、むしろ海外の投資家などはこれらをフルに利用している。支那(中国)の資本進出も当然この情報を土台にしているといっていい。そんな便利なインフラを当の日本人が知らないではいけない。是非知っていただきたくまとめてみた。

1.無料で見られる「企業の情報の宝庫」の活用を!

「企業の情報を入手するのは困難」と思っている人が多いように思う。しかし、実際には「無料で」、「いとも簡単に」、しかも「非常に質の高い情報」が得られる。そういったことは、なかなか知らされない。私も公認会計士という資格を得てそれに伴う仕事をしていなければ、知らないままだったかも知れない。

しかし、公認会計士として会計監査という業務について、EDINETという存在と有価証券報告書という存在を強く意識した。その作成現場の一部となって仕事をしていく中で、これほどの情報がいとも簡単に世に出ていることに驚きを持つほどだった。

有価証券報告書
有価証券報告書

ある人に言わせれば「企業の情報の宝庫」とまで言われる存在であるEDINETの情報はインターネットですぐに入手できる。しかし、その存在を知っている人は本当に少ない。少しコツはいるが、これを見るのは決して難しいことではない。

「タダのものは信用出来ない」とか、「企業の出す情報なんかあてにならない」とか思っている人もいると思う。しかし、その作成現場にたずさわった者から言わせてもらえば、この情報は相当確度が高い。すべて監査法人に監査が入っているし、そんなに簡単に虚偽の事を記述することが出来る物でもない。
そして、その記述はすべて法律・法令により厳格に規定されている。

無料でとてつもなく確度の高い情報が得られるEDINETを活用することを強くお勧めしたい。「企業情報の基礎」と言って全く過言でない代物しろものである。

2.EIDNETとは

EDINET(エディネット)とは、金融庁管轄の下で開示が義務づけられた企業情報を、インターネット上で開示する場所である。EDINETとは「Eelectric Disclosure for Investors NETwork」の頭文字を取ったものである。そのホームページを開くことで、企業情報の閲覧が可能となる。

EDINET_ホームページ
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ホームページにあるとおり、「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子化維持システム」である。法律に基づいて運用されており、一定の要件を満たす企業はここに法律で要求されている書類を必ず、期限までに提出しなければいけない。

法律によってEDINETに提出が要求されている書類は種々あるが、一般的に情報を取る場合に考えるのは「有価証券報告書」とその簡易版とも言える「四半期報告書」(四半期がない会社は「半期報告書」)さえ押さえれば問題ない。特にその基礎となる「有価証券報告書」がまさに「企業情報の宝庫」と言われる書類である。

3.有価証券報告書とは

有価証券報告書とは、上場企業に提出が義務づけられた書類である。基本的には、年に一度、株主総会後に作成され、その公表がなされる。通称は「有報」と呼ばれる。
上場企業は例外無く必ず提出が義務づけられる。更に、その簡易版と言える「四半期報告書」が四半期ごとに公表される。

この有価証券報告書はかなりのページがあり、全部読むのはなかなか大変な量といえる。しかし、企業が外部に出す最も情報量の多い報告書で、会計のみならず企業情報が多く表示される。まさに情報の宝庫とも言える。
しかし、どうしても量が多いことから、その作成期限には余裕がもたれているため、決算日が来てもすぐには開示されない。例えば3月決算の会社ならば、提出されるのは6月末が多い。

4.「情報の宝庫」有価証券報告書!

この有価証券報告書の作成方法は、法令により詳細に決められている。大枠であったり開示しなければいけない内容は、ほとんど企業の自由にはならない。つまり、これを書くことは企業の意思ではなく、国家が定めた法令による義務であり、社会の「共通インフラ」である、といえる。

ライブドア事件
ライブドア事件

しかも、その内容が細かく規定されているだけでなく、嘘の内容が書かれれば法的に罰せられるものである。かなりの文量にも関わらず、経営者はその責任を負うことになる。

最近で最も有名なのが、「ライブドア事件」と言われる当時の「ライブドア」という会社が有価証券報告書の虚偽記載で立件された件だと思う。22005年に起訴されたこの事件だが、これにより当時の社長だった堀江貴文氏は実刑判決を受けて、懲役2年6ヶ月の実刑となった。多分に政治的要素を含んだ事件ではあったため、堀江氏に対する検察・判決の動きには特殊な事情があると思う。しかしそれでも、「有価証券報告書虚偽記載」という非常に重い罪が経営者には課せられる、ということがよくわかる事件だった。

コクド 堤義明総裁(当時)
コクド 堤義明総裁(当時)

また、西武鉄道や西武百貨店を傘下に収めていた「コクド」というホールディング会社の有価証券報告書の虚偽記載が問われた事件があった。2004年における西武鉄道グループを揺るがした大事件であった。結果、そのグループの総裁で絶対的な権力を持っていた堤義明氏は執行猶予付きながら有罪判決を受けている。また、この事件に伴いコクドの幹部社員と西武鉄道の前社長が自殺するという、非常にショッキングな事件だった。グループの全てを取り仕切っていた堤氏はこれにより大きな衝撃を受けて、一線からは退いてた。

それほどの影響力を持つ「有価証券報告書」が無料で見られる。上記のようにその情報の信憑性は、国家が法律によって担保している、といって問題ない。そこまで「確度」の高い情報が、普通にインターネットを叩けば出てくる。これを「使わない」あるいは「知らない」のは、税金を払っている国民としてあまりにもったいない。日本国民のための共通の「情報インフラ」なのである。

5.有価証券報告書の見方

(1) 有価証券報告書の記載項目とEDINETの活用

教科書通りに有価証券報告書の記載内容を、法令に従って項目毎に示すと、下記の通り。

  1. 企業の概況:沿革や事業内容、関係会社の状況、従業員の状況 など
  2. 事業の状況:キャッシュフローの状況や、事業分野の情報、やるべき課題、研究開発の状況、抱えているリスク、重要な契約 など
  3. 設備の状況:設備投資をどのようにしたか。既存の設備投資はどこにあるか。
  4. 提出会社の状況:株式についての記載。株式の総数や資本金の推移、大株主の状況、ストックオプションの内容、配当、株価、役員の状況 など
  5. 経理の状況:連結財務諸表(連結貸借対照表・連結損益計算書・連結剰余金計算書・連結キャッシュフロー計算書)、財務諸表など。
  6. 提出会社の株式事務の概要:決算期や株主総会など、事務的な内容
  7. 提出会社の参考情報:親会社の情報など

【1.企業の概況】は最も見るところである。これにより直近の企業の業績が見て取れる。また、「沿革」を見ることで、企業の歴史の概要が見える。「従業員の状況」はかなり細かに記述がある。人数はもちろん、平均年齢・平均勤続年数・平均給与と、なかなか面白い情報が見られる。
【2.事業の状況】や【3.設備の状況】は会社の企業力そのものが見ることが出来る。ただ、少し読みにくいところではあるので、さらっと飛ばしてもいいところ。
【4.提出会社の状況】には株主の状況等が示される。ここはよく見る。特に、「大株主の状況」は会社の株主の構成が見られる。また、「役員の状況」は全役員の簡単なプロフィールが示されていて、株主構成と合わせて、会社の構成が良く見て取れる。
【5.経理の状況】は、会社の決算が細かに示される。かなり詳しく書いてあるが、詳細については相当な専門家でない限り、読みにくいかもしれない。ただし簿記の知識があれば、B/S・P/L・キャッシュフロー計算書、あたりをさらっと見れば状況は見える。会計にかかわる仕事をしている人、会計の勉強をしている人にはぜひ見てほしいところである。

(2) EDINETの操作方法

有価証券報告書の中身に触れる前に、EDINETの書類の見方を簡単に説明したい。
とはいっても全く難しい物ではない。下記のように操作すれば誰でも簡単に閲覧・入手が出来る。

① EDINETのホームページに入る。
② 「書類検索」のタブを選択する。
③ 見たい会社の名前を入力する。
④ 「検索ボタン」を押すと、下にリストが出現する。
⑤ リストの中から、自分で使いやすい形式を選んでダウンロードする。

これだけで、「企業情報の宝庫」と言われる「有価証券報告書」に出会える。

EDINETの閲覧方法
EDINETの閲覧方法

上記の画面例は、「ソフトバンク」を検索した場合の画面である。上記の通りのステップで、ソフトバンクの有価証券報告書は入手できる。

(3) 「企業の概況」の実例

有価証券報告書をめくって最初にでてくる「企業の概況」はボリュームが多い。また内容も非常に濃く重要な情報がたくさんある。
ここではソフトバンクの平成31年3月31日時点の有価証券報告書を例に実際の書類を見てみる。

企業の概況_経営指標
企業の概況_経営指標

上記は、ソフトバンクグループの「企業の概況」の「経営指標」である。無造作に金額や数値があるが、重要な物ばかりである。これを見て新聞紙上等で時々言われる「借金が多い」というのが数値で見られる。いわゆる「自己資本比率」が相当低い。5年間の推移で見ても低い状態です言いしていることが分かる。また、従業員数もここに表示される。7万人となると、やはり巨大企業グループと改めて思う。

企業の概況_沿革
企業の概況_沿革

「沿革」では企業グループの歴史が簡単に示される。初めての企業を見るときはここを見るとその発祥等が分かる。淡々と書いている箇所だが、企業グループの正確な歴史を知る上で非常に有用といえる。

企業の概況_関係会社の状況
企業の概況_関係会社の状況

上記は「関係会社の状況」である。これによりグループの企業がほぼ全て表示される。法令によりその範囲は明確であまりに小さい会社はここでは表示されないが、主な会社は必ず表示される。会社を隠すことは出来ない。グループを知る上では非常に有用な情報となる。
上記はソフトバンクの例で、「その他」の事業に「福岡ソフトバンク」や「PayPay」があることがここで正式に分かる。またヤフーもグループ傘下であることが、ここで明確に表示される。保有株式も表示されるため、どれほどの支配状況かも推測できる

企業の概況_従業員の状況
企業の概況_従業員の状況

従業員の状況は、グループの従業員の配置が分かる。これは非常に有用な情報でこれを知ることで企業グループの「ポイント」が見えてくる。また「提出会社の状況」では、有価証券報告書を提出している会社の従業員の詳細情報が見える。ここの例では「ソフトバンクグループの親会社」でいわゆる持ち株会社の従業員の状況だけであるが、表示される。192人の従業員で平均年収が12百万円となかなか多い。

(4) 「事業の状況」の実例

「事業の状況」は会社によるが一般的には文章が長くなり読みにくい。しかし、そこを見ることで経営者の主張が垣間見える。あまり真面目に見るところではないが、企業経営者(役員)の主張として興味深いものではある。

(5) 「設備の状況」の実例

「設備の状況」は「企業グループ」ではなく有価証券報告書を提出した会社のみの情報が表示される。グループ全体ではないにしても、その企業の資産の内訳をかなり見ることが出来る。

設備の状況
設備の状況

上記は「トヨタ自動車」の有価証券報告書である。そこにあるとおり、主要な設備としてやはり製造業としての特色が大きく出ている。工場がそれぞれ明示され、その住所も分かる。また、土地であれば平米数までもがでるため、広さも把握出来る。これにより企業の状況の大枠を把握出来る。

(6) 「提出会社の状況」の実例

「提出会社の状況」もいろいろ項目があるが、ここでは「大株主の状況」「役員の状況」を説明したい。

「大株主の状況」は文字通り大株主を上位から示したものである。ソフトバンクの例を示す。

大株主の状況_ソフトバンク
大株主の状況(ソフトバンク)

これを見れば、どんな新聞を見るより信憑性は高い。上記のとおりやはり孫正義氏の存在感は、ここでも圧倒的である。あれほどの巨大企業グループの株を20%も個人で持っていることは、改めて見ると驚く。

役員の状況(トヨタ自動車)
役員の状況(トヨタ自動車)

役員の状況は、まさに全役員の状況が明示される。生年月日、略歴、保有株数も表示され、ここに表示されない役員はいない。どの新聞を見るより、ここで表示される物を見る方が正しい情報が見られる。
法令により、注釈には役員の間で親族関係があれば必ず書かないと行けない。文章としては小さいが、これも非常に有用な情報となる。

6.EDINETを活用して賢い選択を!

このようにEDINETという媒体を通じて得られる「有価証券報告書」とは、かくも情報がたくさん入っている。

こうした情報は、すべて法令により義務化され経営者はその虚偽記載に対して罰則までかけれた上での情報である。すなわち国民共有の財産と言っていい。それを利用するべき日本国民がそれを知らず、海外の投資家達がそれを利用して日本を食い潰す投資をしているでは、笑い話にもならない。

我々の税金を使って、また企業の多大な努力によって作成・提示されている「有価証券報告書」を金融庁のEDINETを用いて、是非、有用に使いたいマスコミに踊らされない正しい知識を身につけることは、それほど難しい事ではない。なかなか時間がなかったり、敷居が高く感じたりすることもあるが、自分への自戒も込めて、「有価証券報告書を見る習慣」をつけていきたい

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