「北極海航路」と日本との関係

北極海航路(地球儀)

「北極海航路」と日本・世界の可能性を考える

今回は、過去に触れた「地政学」の観点から、昨今言われる「北極海航路」について記述したい。

1.地球温暖化と「北極海航路」

「地政学」の概要とその見方については、過去に触れたとおりである(→地政学と日本と台湾)。今回記述する北極海航路は、地政学というほどのものではないが、環境の変化を知れることと、地図を見ながらの頭の体操になる興味深い話なので、取り上げたい。

「北極海航路(Northern Sea Route)」とは、その名の通り、北極海を通る航路を言う。これは、地球温暖化の結果北極の氷が溶けていることにより、ついに海路として航行できる可能性が出てきたために、この航路が取りざたされるようになった。

2.「北極海航路」の航海地図と現在航路との比較

では、地図をみながら、日本とヨーロッパを結ぶ航路を見てほしい。

北極海航路(メルカトル図法)

北極海航路(メルカトル図法)

地図の青い線が、現状の航路である。南へ進み、マレーシアのマラッカ海峡を抜けてインド洋を超え中東に入り、スエズ運河を抜けて、ヨーロッパへと出る航路である。一方、地図の赤い線が「北極海航路」である。日本を出て北へ進み、ベーリング海峡を抜けてロシアの北をずっと通って、ノルウェーの北からヨーロッパに入る航路である。これが、北極の氷が溶けだしたことにより、今まで不可能であった航路が可能になりつつあるものである。
地図を見ると、赤い線と黒い線がどっちが長く見えるか、というと、赤い線の方が長く見える。長いのなら、わざわざ、北極の厳しい航路を通って長い航路使う意味があるのか?、と考える。しかし、これが昔懐かしい「メルカトル図法」による地図、の弊害である。実は赤い航路(北極海航路)の方が、4割近くも短くなる。

北極海航路(地球儀)

北極海航路(地球儀)

それを見るには地球儀となる。図を見てほしい。
地球は丸いため、どうしてもメルカトル図法の地図だと、北極・南極に行けば行くほどひずみが出てくる。それが視覚的に正しく見えなくしているのである。
実際、図の青線の従来の航路は約21,000kmで、赤線の北極海航路は13,000kmと約3/4程度にもなる。これを単純に日にちで換算すると、従来の航路が約48日で、北極海航路が35日となり、非常に短縮される。
これは、アメリカ・ニューヨークへの航路にも同じことが言える。こちらは「北西航路(Northwest Passage)」と呼ばれる。パナマ運河を通る従来の航路は約18,000kmに対し、北極海を使えると約14,000kmに短縮される。
もし、こうした航路が使えるようになれば、劇的な流通の変化となる。経済に与える影響は計り知れない。実際に氷は溶けてきているので、その実現は不可能ではなくなってきた。そうなると、地図を見てもわかるように、日本に有利ということは、中国・韓国という隣国も同じなわけで、こうした反日国家とのせめぎあいも重要となる。

3.「北極海航路」をめぐる現在の状況と今後の可能性

ただし、実際には従来航路の方が有利の状況は変わらないようである。北極海航路は、夏しか使えないこと、氷が溶けているとはいえ氷に当たりながら航行するのは今と違う技術とコストを有すること、ロシアとの協調が出来るかが不透明といったことがあり、実現はまだまだ遠いようである。

しかし、こうした見方・考え方というのは面白いし重要であると思う。飛行機のベテランパイロットが話していたのを聞いたことがあるが、空から見てわかるくらい、目に見えて北極の氷は減っているそうである。温暖化の恐怖はあるが、そうはいっても現実の環境の変化に対応することも重要である。遠すぎる未来を患いていて近い現実から目をそらすと、あっという間に先に取られ、結果、国家が衰退していく。

環境の変化からくる経済・政治への影響を考える考え方は、変化への対応という面からも重要だし、地図の見方として面白いトピックと思う。

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コメント

    • 岩内
    • 2017年 9月 25日

    メルカトル図法。…懐かしい、そんな名前でしたね。
    北極海航路が開通した今、更に外交が重要になりますよね。そのためには安定政権が重要条件ですが、「解散表明」残念でした。消費増税10%は財務省に押し切られたのか、使途もやっつけ感満載だし…。希望の党(小池&中山)は消費税凍結を出すタイミングを狙ってるんでしょうね。

      • てつ
      • 2017年 9月 25日

      本当に残念な会見でしたね。安倍さんしかいないのには変わりはないですが、増税を掲げて勝った選挙は歴史上一度もないです。
      しかも、この状況で憲法9条改正に触れないとは・・・、なんのための解散なんだか・・・。

      せめて、これからの議論に期待したいですな。

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