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経済の観点から見る「武漢ウィルスショック」の論点と対応を考える(’20/4月現在)

失業率と自殺率推移

経済を主にして見た場合の武漢コロナウィルスの論点と、その対応策を考える

今回は、武漢コロナウィルスの影響について、日本の経済に限定してまとめてみた。マスコミの論調があまりに扇動的で感情的すぎて、まったく害にしかならない。マスコミが深く報じない大問題にこそ、着目すべきである。「経済」について考えてみた。是非、ご一読を。

1.国にとってのリスクは「武漢コロナウィルス」だけではない

令和2年4月現在、「緊急事態宣言」以来の日本は大きく様変わりした。そして、テレビ・新聞のマスコミは、今だに意味のない「感染者数」なるものを報道し、不安を煽り続けている。
しかし、日本も世界も直面している問題は、「武漢コロナウィルス」による直接の病気だけではない。これに伴う「経済の停滞」が大きく国と人々を狂わせ始めるのである。
その経済的側面に着目し、どのようにすればいいのかを考えたい。

非常事態宣言の首相会見
非常事態宣言の首相会見

マスコミは、感情的になるような場面や数値を使って、センセーショナルに報道し煽り続けている。いつものことだが、本当に辟易とする。例えば「自粛していない」という場面を大喜びで(そのように見えるが・・・)報道し、人々の感情を刺激しこうした危機を煽って商売にしている。それを見れば感情的になったり不安を煽る効果こそあれ、なんの情報も事実もなく、見る価値のない「不安産業」である。

現状を冷静に見れば、日本の死者数を見る限り、この病気によるリスクは日本では「大きくない」と言っていい。国全体のリスク対応としては、とにかく「医療崩壊」が起こらないように今の状況を維持することかと思う。それが正しい状況判断と思われる。(詳細は➡正しく認識すべき「武漢コロナウィルス」の日本の現状とその後の展望(’20/4月現在)参照)

ところが、経済がここまで止まると影響は「武漢コロナウィルス」の病気そのものでないところに出てくる。そうした側面から今回の「緊急事態宣言」とその後の状況を見るべきである。
その影響はいろいろな経済指標に出てくるが、顕著に現れてくるのが、最も重要な経済指標の一つである「失業率」である。

2.経済指標から見ることの重要性 ~3つの「主たる経済指標」~

(1)「思い込み」だけで社会・政治・経済を見ることの危険

「経済指標は経済学のものなので専門家に」、という考えは大きな間違いである。経済を正しく知ることは、正しい認識とそれに基づいた正しい判断に資する。

ニュース・新聞でいろいろな指標が踊っているが、よく見ると非常に誘導的な怪しいものがまかり通っている。典型的なのが、「国の1,000兆円の借金で日本は破綻する」というデマである(デマであることの詳細は、➡国の借金の嘘と実情➡「国の借金」にまつわる嘘を~参照)。こうした思い込みにより、新聞やニュースの読み方、あるいは投票行動にまで影響するので、気が付くと非常にやっかいであり、危険である。

歴史的に見ても、国がおかしくなるときには、必ずと言っていいほど経済が混乱している。そしてそれを冷静に分析出来ないまま、あるいは経済の危機を隠したまま国民を扇動し、何らかの「敵」を作り、悲劇が繰り返される。

今回の武漢コロナウィルスの問題は、『ウィルスをきっかけにした「経済戦争」の側面がある』、と考えるべきである。発生国の政府である中国共産党は、全く悪びれることなくこの機会を利用しようとしている。
世界的に厳しいこの状況を、日本としてどのように舵取りし経済を復旧させていくのか、それを考えることが、病気の被害を最小限に抑えることと共に、今求められていることである

(2)主たる経済指標とは

ここで経済指標のおさらいをしておきたい。経済指標はいろいろあるが、私が考える「主要な経済指標3つ」は、下記の通りである。

3つの主要経済指標①  その国の経済規模を表すGDP(国内総生産)
②  その国の物価状況を示す消費者物価指数(インフレ率)
③  その国の雇用状況を示す失業率

これら3つを正しく理解し他国と比較したり、傾向を分析することで、だいぶ見えてくる。今回は①のGDPには触れないが、これも非常に大きく影響してくる。今回の記事で示したいのは、武漢コロナウィルスに伴う「緊急事態宣言」の状態における、②のインフレ率③の失業率の影響である。

3.失業率と自殺率との高い「相関関係」

大前提として、失業率と「自殺率」は非常に高い「相関がある」といわれる。すなわち、両者は

「どちらかが増えればもう一つも増え、どちらかが減ればもう一つも減る」

という関係にある。これは経済学というより統計学的な導きで、数字は嘘をつかない。下記が、高橋洋一先生がtwitterにて出した、失業率と自殺率の相関の推移のグラフである。

失業率と自殺率推移
失業率と自殺率推移

グラフの形を見るだけでも両者が深い関係にあることは見て取れる。また、グラフにもあるとおり、相関係数は「0.86」とある。統計学的には、相関係数が「0.7~1」だと、「かなり強い相関がある」として認識される。計算そのものはここでは割愛するが、これを見るだけでも「一般的な知識」として、失業率と自殺率とがほぼ連動する関係が見えてくる

そして、この「非常事態宣言」の経済状況で失業が増えるのは明確である。すなわち「失業率」は大きく上昇するものと見込まれる。

4.武漢コロナの比ではない「自殺者数」

先ほどは「比率」で見たが、自殺者の「人数」を見てみたい。驚くべき人数だが、年間で何万人もの人が亡くなっている

日本の年間自殺者数推移
日本の年間自殺者数推移

グラフを見てまず指摘すべきは、安倍首相の第二次内閣以降で減少を続け、2万人を割るところまで来た。安倍首相の最近の政策には賛同できない物が多いが、この自殺者を減らし続けている実績は、もっと評価されるべきである。どの内閣も出来なかったことを続け、「年間」の自殺者数を1万人も減らしているのである。

しかしここで指摘したいのは、グラフの「縦軸の単位」から見る「人数」の多さである。一番上は「3万5千人」という人数である。現在は2万人にまで減ったとは言え、毎年何万人もの人が自らの命を絶っているのである。
「失業率」という比率だけでは見えにくいが、「人数」で見ると、如何に自殺が大きいか、認識できる。武漢コロナによる死者数は、累計でも20年4月現在で200人超という人数である。現状で言えば、自殺と武漢コロナの死者数を比べれば、文字通り「桁が違う」のである。

そして、失業率が高まればこの自殺者数が増加に転じる可能性は極めて高い。単純に相関のデータで考えて数式に当てはめると、失業率が1%上がると人口1億2千万人で考えて、自殺者が2,000人以上増える事になるという。

5.消費者物価指数(インフレ率)と失業率との関係 ~フィリップス曲線~

また、あえて経済指標の分析、ということで付け加えるのなら、物価(インフレ率)について指摘したい。

経済の重要な指標として、消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)がある。 は、その名の通り物価の推移である。インフレ率とも呼ばれる。ある基準年度を1(あるいは100)として、小売価格の統計から計算し毎年の変動を表す。消費者物価指数(インフレ率)は経済の体温計」とも言われ、経済状況を表す上で、非常に重要な指標である

なお、この失業率と先の消費者物価指数とに相関があるとしたのが、「フィリップス曲線」である(詳しくは➡失業率とインフレ率~)。

フィリップス曲線
フィリップス曲線

このフィリップス曲線は傾向を示すだけで、必ずしもその通りにきれいになるという物ではない。その上で、この曲線が示すことは、

「インフレ率が下がると、失業率が上がる。または、失業率が上がると、インフレ率が下がる(デフレになる)」

と言うことが表わされる。必ずしも単純に言える物ではないが、一般的に経済学はこの原則を重視して理論が組み立てられる。
そして日本はまさに「デフレ」である消費税を10%に引き上げるという暴挙としか言えない事を実行したのが、昨年の令和元年(2019年)の10月だった。消費税は、「人々の消費に罰金を払わせる」という税金である。景気が過熱しているときならいざ知らず、デフレ期に消費税を増税するなどあり得ない物だった。結果、人々の購買意欲は著しく制限され、更なるマイナス成長という統計数値が、武漢コロナウィルスの前の「10月~12月統計」に如実に現れていた。となれば、その後の「武漢コロナ」の影響が入れば、更なるデフレ(マイナス成長)であることは、間違いない。

すなわち、「インフレ率(物価)」の面から見ても、日本はデフレ傾向にあり、デフレは失業を生むことから、失業率の上昇は予想できるとなってしまう。

6.経済の運営は人の命に直結する

このように見てきたとおり、経済は人の命に直結する。今見ているのはあくまで「自殺」というマイナス面だが、これを「出生率」としてみても、経済の停滞が言い方向に働くことはあり得ない。経済は、必ずうまく回して成長し続けなければならない。

そういう意味では、今、日本も世界も、武漢コロナウィルスの直接の影響と、それに伴う経済不況、という二つの巨大な課題を解決しないといけない

前者の課題は、日本はなんとかしてこの程度の死者でしっかり押さえている。しかし、後者の経済の問題も、とてつもなく大きいものである。本来、国会であったり新聞・テレビのマスメディアで、この経済についての議論が盛んに行われるべきである。ところが現状でその議論が盛んに行われているのを聞いたことがない。

あろうことか、経済活動の議論をすると「人の命より金(経済)を優先するのか」という、論調がある。話にもならない程度の低い議論と言わざるを得ない。「経済は人の命に直結する」のである。経済の議論をすることを躊躇すべきではなく、むしろそのように政治を誘導すべきなのである。

7.経済の対応は「正しい政策」をすれば十分可能

問題は大きく山積しているが、答えがない訳ではない。特に、経済の問題は、政策によって有効な手段が打たれれば、かなりの効果が期待できる

【失業対策】
所得保障・休業補償等を手厚く行い、企業や店舗の倒産を防ぐ
【デフレ対策】
日銀による金融緩和、消費税の税率引き下げによる景気のてこ入れ

上記の通り、オーソドックスではあるが王道の経済政策はあるし、既に手を打たれつつある。ただ、規模が小さいのと遅いのとでなかなか現状では十分ではないが。
しかし、正しい政策をすばやく実行すれば、損失を最小限にして、日本は必ず力強く立ち上がれると信じている。あくまで正しい政策をすればの前提だが・・・。

8.経済の問題と「武漢コロナウィルス」とを分けて考えることの重要性

以上、経済的視点からの武漢コロナウィルスの現状と国としての課題をまとめてみた。

武漢コロナウィルスの病気の脅威は、必ず収束していく。現状でも効果のある薬も認められ始めたし、人類は必ず危機には対応する力を持っている。

大切なのは、その時を見据えた上での「国としての損失の最小化」と思う。経済はそのまま国であり国民の活力である。これが停滞することは、単なる「お金の損得勘定」とは訳が違う。人々の命に直結する大問題なのである。
この100年に一度もない程の危機的状況に、冷静な議論と適切な経済政策がなされるよう、国民から突き上げるくらいになると、国民と政治家と良い緊張感になると思う。そして、日本は早くにこの状態を抜け出し、強い経済になると思う。残念ながら、野党とマスコミには全く期待するだけ無駄なので・・・。

是非、この危機をうまく乗り切り、日本全体が良い方向に早く向かうよう、国民の一人として冷静に見て行きたい

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2017-10-30

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