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江戸時代から見た世界史【4】~世界帝国イギリスと清と日本~

列強の植民地支配

19世紀前半の世界帝国イギリスと、アジアについて考える

江戸時代の世界情勢についての4回目である。
イギリスを中心にしつつ、まとめとして日本についても記述したい。

(シリーズ記事)
➡江戸時代から見た世界史【1】~17-19世紀前半の世界~
➡江戸時代から見た世界史【2】~ヨーロッパ戦争史~
➡江戸時代から見た世界史【3】~オスマン帝国とペルシャ~
➡江戸時代から見た世界史【4】~世界帝国イギリスと清と日本~

1.江戸初期~幕末(17世紀~19世紀前半)の日本・世界史年表

まずは、年表である。

江戸時代と世界史年表
江戸時代と世界史年表

大きな戦争として30年戦争・7年戦争・ナポレオン戦争を取り上げた。どの戦争も悲惨な大過をもたらしたが、イギリスはその都度力を得て、7年戦争を経て「第一帝国」と言われる広大な植民地を形成する。またイギリスは1707年にスコットランドを1801年に北アイルランドと併合し、グレートブリティン=北アイルランド連合国、となっている。

2.1850年代の世界帝国イギリスの植民地支配の大きさ

まずは、1850年代の世界の情勢地図を、特に大英帝国の版図である赤色の部分に着目して、みてほしい。

大英帝国の植民地支配地域(1850年頃)
大英帝国の植民地支配地域(1850年頃)

赤色で着色されているところがすべて、大英帝国領である。いかにイギリスが強大かがよくわかる。地図にはないが、ペルシャから分離したアフガニスタンもイギリス影響下にあり、清に至っては、アヘン戦争後でイギリスの半植民地状態となっている。
余談だが、ラグビーの世界3強は、南アフリカ(スプリングボクス)・ニュージーランド(オールブラックス)・オーストリア(ワラビーズ)で、上記を見れば、見事にイギリスの植民地である。また、「5ヵ国対抗ラグビー」は、イングランド・ウェールズ・スコットランド・アイルランド(統一)にフランスが加わって行っている。

イギリスは、ヨーロッパ大陸に先駆けて宗教革命を経て重商主義に進む(16世紀)。なかなか勝てなかった大国スペインの無敵艦隊を倒すのも16世紀である。その後、ピューリタン革命・王政復古を経て1688年の名誉革命により、イギリスの「立憲君主制」が確立する。ヨーロッパ本土は30年戦争真っ只中である。その間にイギリスは改革を進めていた。その後、海洋国家として海外進出を進め、さらなる重商主義に入ることで「産業革命」を経て、上記のような植民地支配を行う「帝国」を築いたのである。当時の他の列強を圧倒し、当時の世界5大国の他の国である、ロシア・フランス・プロイセン・オーストリアが束になってもかなわなかった、とまで言われる力を誇っていた。

3.イギリスの侵略状況

「イギリスは先進的で、議会に基づく紳士的な国」というイメージを持つ人もあると思う。しかし、現実は紳士的とは程遠い。国内ですら、1649年のアイルランド併合時には清教徒革命のクロムウェルが30万人の市民を殺したといわれ、アイルランドは今でもイングランド嫌いと言われる。
植民地支配など、全く人を人と思っていない。インドでは、「手首塚」と言われるが、自国の毛織物を売るために当時のインドの木綿工の職人の手首を何万人も切り、インド経済をずたずたにしている。オーストラリアの先住民のアボリジニの虐殺、アメリカ開拓時の原住民(インディアン)の虐殺、とすさまじい虐殺と支配の上に繁栄があることを知るべきである。それはイギリスのみではなく他のヨーロッパ諸国も、多かれ少なかれひどいもので、全く人間扱いではなかった。これも今の教育では教えられない事実として知るべきと思う。
また、イギリスの清に対するアヘン戦争など、あまりにひどい。清に対する貿易赤字が大きくなると、違法とわかってアヘンを売りつけ、それを清が取り締まったら戦争を仕掛け、勝利した後不平等条約を結び、香港を割譲し、他の港を開けさせた。イギリス議会でも問題にはなっているが、やったことには変わりはない。China(中国)大陸は半植民地となったのである。
ただ、日本にとっては、アヘン戦争はインパクトが大きく、維新回天の大きな原動力となっている。アヘン戦争のことは、清でそれを取り締まった林則除の友人魏源がまとめた本「海国図示」が出版されているが、むしろ清ではなく日本の知識層に広く読まれている。また、高杉晋作は香港に留学していて、その時の清の惨めさを見て、日本の武装化を急いだ。他のアジア諸国も含め、日本にとっては、非常に大きな教訓となったのである。
明治維新頃の話はここでは詳細には触れないが、1850年当時の図を見てもらえば、どれだけアジアが植民地化され、日本が危険であったか、よくわかると思う。大東亜戦争を「日本の侵略」という人がいるが、ある瞬間だけ取って見る短絡的な見方に思う。侵略してきたのはどこか、この地図を見ただけでもわかると思う。この後に、この地図より更に列強侵略が進む。それを「解放」し、二度と来ない体制を作ろうとしたのが日本なのである。そこについては、いずれ記述したい。

4.清王朝とそれを利用する「中国」という地図

ここで清と「中国」について触れておきたい。清は、最初の年表にある通り、満州からの王朝で、北京を乗っ取った王朝である。今の中国がいう、清の頃の版図が中国だ、という主張には裏があるし、歴史をみれば、ほんの一時期の版図でありそれを「中国」ということはおかしい。もちろん中国自身が言う分には勝手に言えばいいと思うが、他国が見る場合はその実情を知る必要がある。
そもそも日本での「中国」という呼び方は戦後のものである。日本では戦後、China(中国)大陸を「中国」と呼ぶように強制することとなったが、本来「中国」という名の国も地名もなかった(日本の中国地方はもちろんあった)。中華思想に基づく国名・地名として「中国」を使うように中国共産党が依頼してきた結果、なぜかその前の歴史までもが「中国」となったのである。ChinaとはChina(中国)の事であり、「中国」という概念は、戦前にはない。これは、「徳川家康が『東京』に幕府を開いた」というくらいおかしいことであり事実ではない。
「中国四千年」というが、年数だけは四千年だけどね・・・、と私は思っている。王朝が変わる毎に全部虐殺し、前の王朝は全くリセットされている。しかも、支配もいろいろな民族・人種が入っている。歴史の継続、という意味では非常に薄いと思われる。「眠れる獅子」と思われていた清がまったく強くなかった理由の一つと思う。それを隠すかのように「中国四千年」と言われ、外ならぬ日本人があたかも日本より上のように思い込んでいる事を非常に憂う。
そういった「中国」の嘘について本やYouTube番組がいろいろある。ここでは是非倉山満氏の本を紹介したい(→嘘だらけの日中近現代史:扶桑社新書)。たかが呼び方ともいえるが、中国共産党や韓国のやり方は、そういう「言葉」を押し付けてその後歴史の事実も捻じ曲げたうえで、日本の責任を宣伝する。日本人は、正しく歴史を理解することが重要であり、戦後教育が全く正しくないと、つとに思う。
図は現在の中国の地図の中身である。現在進行形で、いかに他国を勝手に「中国」と呼んで支配しているかわかると思う。また日本のテレビ・新聞もそれに乗っている。すべて第二次世界大戦後にいつのもまにか「中国」になっている。
なおそこでは、「人権侵害」とい名の虐殺が行われていることも、中国はもちろんだが、日本のマスメディアは全く報じない。言葉は重要である。勝手にすり替えられないよう、歴史をよく見て今を見るべきである。そのうち「尖閣」、「沖縄」も、そして経済的浸食が著しい「北海道」も「中国」とする気であることは、公然と言われている。テレビ・新聞は全く取り上げないが・・・。

5.日本の統治機構

歴史の継続という意味で日本は、皇室という千数百年続いている世界で唯一の、伝統であり統治の仕組みを守っている。その機能が、日本の内戦期にどれほど機能し、死者数をこの程度で抑えてきたか、明治維新を見ても本当に強く思う。明治維新とその頃の世界史を学んだ結論として、天皇という仕組み・伝統の存在が、当時日本で内戦が広がらず一致して列強に当たることが出来た源泉と思う。いずれしっかり記述したい。
「国王は君臨すれども統治せず」は16世紀のヨーロッパで言われ開明的な考えと日本人が思っているが、皇室を頂く日本では聖徳太子の時代からそれをとっくにやっているし、実際に機能している。。もっと誇るべきであり、守るべきである。

6.世界を見たうえで、当時の日本を思う

以上、4回に渡り江戸時代の世界史について記述してきた。世界史の事実を日本史と並べることで理解が深まると同時に、日本での動きの「根本」が見えてくる。また、あえて世界の残虐な状況等を記述することで、日本との対比にもなると思う。
ことさらに、日本は正しくて列強は残酷である、という気はない。ただ、日本が野蛮でありアジア諸国をしいたげたという現在の認識は、大きく間違っていることを言いたい。江戸期からの世界の列強の事実も知った上で、日本の明治期・大正期・昭和初期を見ないと、背景と事実が見えないのである。
何をもって「正しい」とするかは難しいが、学べば学ぶほど、少なくとも、現在の教育や信用できないマスメディアの言うことは、偏っている上に間違っていると認識する。参考の本や番組(YouTube)はいろいろあるので、興味がある人はぜひ見てほしい。ここでは、故渡辺洋一氏の「若者たちよ!君たちに伝え残したいことがある:KKプレス」を紹介したい。子供たちにも是非読んでほしい本である。興味ある人は是非一度、ご確認を。

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2017-10-30

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