- 2019-11-21
- 食と生活
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良い野菜を食べることの重要性と、現在主流となっているF1種と「雄性不稔」について考える
『毎日食べる野菜を、納得のいく「良い野菜」にすると人生が豊かになる』、私の実感である。現在の食材はかなり変わってきている。野菜の形こそ同じだが、輸入品が入ったり、品種改良の仕方が変わったりと昔の流通や生産では考えられなかった状況にある。そんな中での「良い野菜との出会いの勧め」、をまとめた。是非ご覧を。
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1.「良い」野菜を食べよう!
野菜を食べる、というのはなんとなく健康にいい気がする。しかし、その野菜がどんどん変わってきている。スーパーに並んでいるものの多くは無造作に置いてあるが、それがどのようなものか、どこから来たのか、ふと考えることも重要と思う。
私は、絶対の信頼を置いた農家から毎週野菜を送ってきてもらっている。和歌山県の「橋本自然農苑」に定期購買によりお願いしている。(➡ 橋本自然農苑HP)
その週に取れたものしか来ないので、毎週来るものが変わって面白い。「旬の野菜」を送ってもらい、しかも「自然栽培」という農薬も肥料も使わず、種にも土にもこだわった農法で作っていただいているもので、本当に安心できるしおいしい。
また、旬の野菜が来ることで季節を感じられるのと、自分では買わないものが入ったりするので、毎回楽しみになる。「良い野菜」による食事は、本当に心と生活を豊かにする、と実感している。
確かに通常の野菜よりは少し高いかもしれないが、この喜びは格別、と思う。
2.F1種と「雄性不稔(ゆうせいふねん)」から見る、種の変化
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現状の野菜というより農業事情は、どんどん変わっているようである。
昔から言われるが、食物を強くしたり味を良くしたりするために、別の品種を掛け合わして受精させ種を作ることが多くある。これにより人類の農業生産量は飛躍的に伸びて、大きく貢献したという。
その際にできた種によって生まれた食物を「雑種第一世代」といい、「F1」あるいは「F1種」といった呼び方をする。この「交配した」種から生まれた第一世代をF1と呼び、その次の種が生まれれば「第二世代(F2)」、その次が生まれれば「第三世代(F3)」ということになる。
しかし、その次に第一世代のF1から生まれる種は、どうしてもばらつきがでる。そのため、F2・F3の種からの作物は流通することはない。F1の交配した第一世代のものだけが流通し、食卓に回る。第二世代以降の作物は育てられなくなる。
ここで、F1種をつくるための方法を簡単に紹介したい。植物は一般的にひとつの花の中に「雄しべ」と「雌しべ」が共存し、受精する。このように「自然に」受精させてしまうと、強いものと強いものとの「交配」ができない。
そこで、むりやり雄しべを取って(除雄:じょゆう)から、別の品種の雄しべをつけることで「交配」を可能にする。
しかし、この「除雄」が非常に手間がかかる。手作業ではとてもままならないので、二酸化炭素の濃度を変えて無理やり食物に「生理不順」をおこさせて、交配させる方法もあるという。
その中で近年にクローズアップされているのが「雄性不稔(ゆうせいふねん)」である。これは、「雄しべを持たない」植物を使って交配させるものである。一種の「奇形」であるミトコンドリアの異常等によりそういった「雄しべを持たない」植物が発生することは、古くから研究があったようである。現代ではその「奇形」を無理やり作り出して、種を作る際の交配に用いている。
3.種が危ない! ~雄性不稔(ゆうせいふねん)とは~
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雄性不稔(ゆうせいふねん)は文字通り「精子(雄性)を持たない」種のことである。それを無理やり作り、そこに人工交配させて種を作る。
この「雄性不稔」を無理やり作り出すのは、なんのためか?それは、種を作る業者のためである。これにより、F1の種を作り出す工数は大幅に削減される。
「穀物メジャー」という言葉をご存じだろうか?食物の流通は人の命に直結する大事なまさに「ライフライン」であるが、それを牛耳っているのがごく一部の「穀物メジャー」である。世界で「5大穀物メジャー」と言われたが、今はアメリカのカーギル社と、アーチャー・ダニエル・ミッドランド社(ADM)の2強体制となっている。
ここまで「雄性不稔」について考えたが、果たして消費者としてこの流れは正しいのか、と思う。奇形を無理やり作ってそこで生まれた種による作物を食べることは、果たして体にいいのだろうか?自分にはとてもいいとは思えない。
ただし、研究報告としては「雄性不稔」やF1といった農法により、人の健康に被害はない、と出ていることを付け加えておきたい。なおそれも、確たる証拠があるとは思えない内容だが・・・。
こうした「種の危険」は静かに、しかし確実に進んでいる。日本の種は外来種に負けないように、一部しっかり保護されてきた。が、それを担保してきた「種子法」は平成30年(2018年)の4月に突如廃止された。まったくマスコミの報道は小さいが、本来しっかり議論されるべき課題が簡単に進んでいった。
種を他の交配から守ることは本当に大変な作業である。それを脈々と続けていた農家の人たちや自治体にとって、まさに「寝耳に水」の廃止であった。似たような条例を作る自治体は続出しているが、しかし国からの支援をはずされた「種子」の命運はどうなるのか、農家の怒りと戸惑いの中で進んでいる。
こうした状態のため「種が危ない」と警鐘を鳴らす人が出てきている。その中でも野口勲氏は古くから現状の「種子」の状態に危機感を抱いていた。野口勲氏のブログを見ると非常に状況がわかるので、是非ご覧いただきたい。なお、野口氏は手塚治虫先生の代表作の一つ「火の鳥」の初代の編集者、という異色の経歴を持つ人である。
4.農薬・化学肥料まみれの現在の農業
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また、そうした種子が、畑や田んぼで育てられる環境にも大きな問題を抱えている。農薬の問題は大きく改善されてきているといわれ、昔から問題視されていて規制等がかかったことや、消費者の意識の変化により「有機栽培」、「無農薬野菜」というのも目に入るようになってきた。
しかし、農薬が減ったとしても「化学肥料づけ」の農法は相変わらず続いている。また「虫がつくから農薬」ということで、農薬からも離れられないのが現状である。
特に「化学肥料づけ」については、あまり疑問に思わないかもしれない。しかし、よくよく考えると、人間でいえば「栄養ドリンク」を飲まないと育たたない、という状態といえる。「肥料」であればいいかと言えば、実はこの肥料もよく見てみないと何を使っているかは非常に疑問である。化学肥料を用いた農業では、「野菜は元気を失う」という説もあり、化学肥料を使わない方法も大きく見直されてきている。
5.増え続ける輸入食材
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また、「種子」とは話がそれるが、輸入食材は増えていく一方である。気づかないうち、と言っていいが「遺伝子組み換え」も入っていて、今の流通をよく見ていかないと、スーパーなどで買ったものは、どこからなのか、どんなものなのかがはっきりしない。
海外産のすべてを否定する気はないが、口に入れるものはできるだけ避けるべきと思っている。それは海外での生産方法では、日本ほど農薬規制がないから、農薬漬けになっている、という不安もあるが、それ以上に、海外から来ているということそのものの問題である。つまり、船による輸送により収穫からそれなりの時間を経ている。
海外輸入品の問題は、まず第一に野菜や農作物は、新鮮が一番いい。だから国産の方が輸入品より優位に立つのは当たり前である。
そして次には、「輸送」に耐えうるように何かしらの薬等を用いていることである。これは当たり前のことで、輸送の大半を船で行うのに、新鮮のままでいられるはずがない。そのために何らかの処理がされているのである。
すなわち、どう考えても食べ物は国産を食べるべきといえる。安くないかも知れないが、毎日食するものは安全であるべきである。
6.「良い野菜」を入手することは難しくない!
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しかし、実際にスーパーに行ってもそのような国産の農作物が置いてあることが少なく、買うことが難しいと思うかもしれない。
そこが今のネット社会の利用のしどころと思うし、流通の発達した状況をフルに利用すべきところと思う。農薬だけでなく肥料も使わない農法を「自然農法」というが、今、その農法で野菜やコメを育てている農家もある。
そうした農家と、伝統的な従来の作り方を是非守っていきたいし、そうした人々の作ったものを食べて過ごしたいと思う。
私はたまたま「橋本自然農苑」にたどり着いて、そちらの野菜をおいしくいただいている。橋本さんは種子にもこだわり、F1種ではなく、自分の作物から種を取る「自家採取」に並々ならぬ情熱を持っている。
また、他にもそうしたこだわりを持った農家の方々はいる。ホームページなどで宅配もやっているので、そうした視点で見てみると、こだわりの農家の方々とすぐにつながることができる。作っている人たちを連想しながら食事ができるのは、本当に安心感につながる。
7.自分の食べるものをしっかり知って「食」を楽しむ!
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毎日食べるものこそ、大事にしていきたい。それこそが病気を防いだり、健全な精神を宿すことにもなると思う。そしてそういう関心を持つことが、生活を豊かにすると思う。
そのためには、まず現状を知ることが大事と思う。我々の食卓は、形は変わっていなくともいつも間にか中身が変わってきているようである。「雄性不稔」を無理やり作って育てた野菜などではなく、「自家採取」により古くからの種を自然の中で育てていただく、というのは、本来の日本人の豊かな食生活の根幹だったように思う。
「食」を楽しめると、毎日が充実する。こだわりの食材が来ると、自然と料理もこだわりたくなる。そんな素朴な楽しさを味わうためにも、食卓に来る野菜を見直してみることは大変いいことと実感している。
コメント
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美味しそう!!
大事なこと。
作る人に感謝して、美味しくいただくこと。歳を重ねるほどにシンプルになっていく気がする。
日本は、何でも追求してしまうから、苺をとにかく甘く甘くしていくとか、ゴーヤの苦味を無くしていくとか、カラフルな茄子や人参を作っていくだとか。品種改良に命をかけてる人達の情熱も知ってるから簡単には言えないけど、具体的にこんな事してまでやってるならば本末転倒な気がするな。
地産地消は心がけてる。最近は自分達で野菜作ってる。愛情かけた自家栽培は何より幸せ◎
良い食材に出会えるとほんと幸せだよね。いい物食べて豊かに生きたいねぇ。