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「勇断なき人は事を為(な)すこと能(あた)わず」(島津斉彬)

島津斉彬(なりあきら)公

「勇断なき人は事を為(な)すこと能(あた)わず」という、幕末の薩摩藩主、島津斉彬しまづなりあきら公の言葉に思う。

幕末の薩摩藩の藩主である島津斉彬しまづなりあきら公の言葉を取り上げたい。島津斉彬しまづなりあきら公は、たぐまれなる開明的な知性と卓越した魅力を持った人であった。欧米列強迫る日本において、多大なる貢献をした人である。その島津斉彬しまづなりあきら公の名言はいくつもあるが、そのうちの一つを取り上げたい。

1.「勇断なき人は事を為(な)すこと能(あた)わず」

幕末の薩摩藩の藩主の島津斉彬しまづなりあきら公の言葉として

「勇断なき人は事をすことあたわず。」

がある。読んで字のごとくではあるが、あえて意味を書くのなら、

「勇気を持って決断を出来ない人は、事を成し遂げる能力がない。」

という意味である。

「決断が出来ない人は大きな事を成し遂げる能力がない」、とするこの言葉は、人の上に立つ人はもちろんだが、個人の判断にもあてはまる言葉と思う。逆に言えば、「大きな事を成し遂げるのは、勇気ある決断が出来る人のみである」と言ってもいいと思う。

仕事をしていてもある壁を越えないと成し遂げられない事は意外と多い。その時に重要なのは、「決断」であり、あえて付け加えるのなら、その決断をするだけの「熱意」と思う。その両方を島津斉彬しまづなりあきら公が端的に表したのが「勇断」ではないか、と思う。

2.「島津斉彬(しまづなりあきら)」の人物像

島津斉彬しまづなりあきら公は、幕末における薩摩藩の藩主である。幕末の明治維新において最も影響を与えた人の一人であり、島津斉彬しまづなりあきら公がもう少し長生きしていたら、明治維新は全く違う物になっていたと思われる程の高い知見と広い人脈で、多大な影響力を持っていた人であった。島津斉彬しまづなりあきら公について記述することは、明治維新の記事に譲るが、ここではごく簡単に島津斉彬しまづなりあきら公について記述したい。

島津斉彬(なりあきら)公

島津斉彬(なりあきら)公

藩主になったのは意外に遅かった、弟の島津久光(斉彬後の藩主)とのお家騒動があったためである。「お由羅騒動」と言われるが、それを経て初めて藩主となったのが嘉永4年(1851年)で、それが島津斉彬しまづなりあきら公が40歳の時である。

島津斉彬しまづなりあきら公が藩主でいたのはわずか7年間である。この7年間の間、薩摩藩を強大な藩にし、日本を引っ張る最大勢力とすることができたのは、まさに島津斉彬しまづなりあきら公あってのことであった。その後の明治政府のいしづえをつくる、西郷隆盛大久保利通小松帯刀など、当時はまったくの下級武士だったが、それを重用したのは島津斉彬しまづなりあきら公である。島津斉彬しまづなりあきら公のまさに「勇断」がなければ出来なかった。

その後の西郷隆盛・大久保利通(小松帯刀は早くに亡くなっている)の活躍ぶりを見ただけでも、島津斉彬しまづなりあきら公の決断がどれだけ日本の近代化に貢献したかは計り知れない。更に言えば、人を見て育てることには非常に熱心であり、卓越していた。しかし、島津斉彬しまづなりあきら公自身は明治の時代を見ることなく、安政5年(1858年)に満49歳で死去する。西郷隆盛は「後追い自殺」までしようとした、といわれるほど慕われていた。

島津家の別邸庭園からの桜島

島津家の別邸庭園からの桜島

毒殺説もあるが、もしこの人が長く生きていたらおそらく幕末の日本の動きは違う形になっていたと思われる。幕府にも、他の藩からも尊敬あるいは警戒される人で、一目置かれる存在であった。それほどの知見と人望を持った人であり、まさに日本を作った人の一人である。

3.「勇断」のできる人に

先の言葉に戻る。

「勇断なき人は事をすことあたわず。」

何かを為す時には、必ず何かの勇気が必要である。これは幕末に限った話ではない。現在で仕事をする上でも、生活をする上でも、何かをするときの「勇気ある決断」の意思の強さが、その実行の成否を大きく左右すると思う。「勇気ある決断」が必ずしも正しくないこともあり得るが、少なくとも「決断」をしない限り結果は得られない、と思う。

『「勇気ある決断」の出来ない人には、物事を成就させられない』、という、島津斉彬しまづなりあきら公の言葉は深く心に響く。仕事でも生活でも何かを動かすときには、その場面場面によってある種の決断を常に心に持ちつつ、人に対しても自分に対しても、目指すべき方向を指し示しながら進められれば、と思う。

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