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三面等価の原則と経済学

三面等価の原則

「三面等価の原則」から経済学に触れる

今回は、マクロ経済学の基礎である「三面等価の原則」を通じて、経済学に触れたい。

1.「三面等価の原則」とGDPの計算方法

三面等価の原則

三面等価の原則

まず、「三面等価の原則」について、教科書的に簡単に示す。
「三面等価の原則」とは、国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)は「生産」・「支出」・「分配」の三つの側面から見ることができ、それらはすべて等しいというものである。

上記が三面等価の原則を図示したものである。式で表すと、
【生産面】 GDP = 付加価値合計
【分配面】 GDP = 雇用者所得 + 営業余剰 + 固定資本減耗 + (間接税 ー 補助金)
【支出面】 GDP = 民間最終消費支出 + 政府最終消費支出 + 投資 + (輸出 ー 輸入)
このように、一口にGDPといっても3つの側面があるということである。
生産面は、生産した付加価値そのものである。付加価値という言葉はわかりにくいかもしれないが、その国の生産・加工(あるいはサービスも含む)を通じて上乗せあるいは発生した価値、のことである。分配面はその生産したものがどこに分配されたかを示すもので、大きく雇用者と企業と政府に分配したと考えればよい。支出面は、生産したものをどこが使ったかを示すもので、大きく家計・企業・政府・海外とで表していると言える(投資は、家計と企業)。

2.「三面等価」からみるGDPの伸ばし方

当然この3つのGDPはすべて同じ値となる。ここで、GDP全体を伸ばすこと、すなわち上記のバーの横幅を大きくすることを考えてみる。
例えば支出面で、他が変わらず政府支出を増やせば、需要を喚起したうえで生産が増え、GDP全体が大きくなる。そして三面等価で考えれば、それは当然分配面の横幅も大きくなることとなり、家計であり企業であり政府でありの所得が増えることとなる。

「政府支出を増やすと無駄」といった論調がある。しかし、例えば公共事業により政府支出を増やせば、その公共事業を受けた企業は仕事が増え、所得が増える。そしてその企業で働く社員の収入は増えるわけで、政府支出の増加は、GDPの増加に寄与し、そしてそれは分配面から考えれば、所得の増加となるのである。言いたいのは、経済とは一面ではなく全体に影響を与えるのであって、多面的に見る必要があるということである。なお、このあたりの解説を、YouTubeの「チャンネル桜」で三橋貴明氏がわかりやすくしていたので、興味のある方はぜひ見ていただきたい。

3.生活に直結する経済の理解の重要性

私が経済学に興味をもったのは、日々読む日経新聞をわかるようになりたい、ということからだった。しかし、実際に勉強したのは、社会人になってから挑んだ会計士試験であり、ずいぶん遅い。私は経済学にそこまで詳しくないし、経済学のいうこと全てがその通りとも思いきれない面もある。が、上記のように、経済というものを全体でとらえ、それを数式化して一般化し、分析することで、将来の問題に対処するという考え方には、非常に説得力があり興味を引いた。

自殺者数の推移

自殺者数の推移

経済は人々の生活に直結する。三面等価の話とはそれるが、失業率と自殺率には非常に高い相関があるといわれる。今、第二次安倍政権下で失業率は著しく改善したが、是非自殺者数も見てほしい(マスコミは全然取り上げないが・・・)。バブル崩壊後、3万人を切ることがなかったのが、見事に第二次安倍政権になってから減少している。いかに、経済政策が大きな影響を示すかを見て取れると思う。この事実を示すのは、安倍首相を応援するためというより、政治家・マスコミが安倍政権なみかそれ以上に経済に注目し、経済に正しいアプローチをしてほしいと、切に願うためである。
経済を学ぶことは、単に金勘定をすることではない。経済を分析し、社会の問題に対し冷静に正しく対処するための度具として、経済学を見ていきたいと思う。経済学のいうことがすべて正しいとは思わないが、物事を感情的にとらえないために、歴史と同様、非常に重要な考え方と思っている。

4.経済学の発展に思うこと

2度の大戦以降大きな世界戦争がないのは、経済学の発展により、深刻な不況になる前に経済のメカニズムで分析が進んで対処できるようになったことが、大きく寄与していると思う。不況は人に不安を与え、正常な判断を阻害する。その意味で、不況を広げていかないことは非常に重要であり、経済学の果たしている役割は非常に大きいと思う。
とはいえ、経済を無視して無理やり固定相場を続けている中国のような国には対処できていないように思うが・・・。

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コメント

    • ゆかり
    • 2017年 8月 01日 12:09am

    自殺と経済の関係は特に興味深いです。
    男性が顕著ですね。
    今日は高校の同級生で、大使館で働いている友人と話をじっくりしてきました。
    東京、フィリピン、ギリシャ、シンガポール、中国、と現地の生の情報を体感してる彼といつかtetsuさんと飲めたら楽しいなと思いました◎
    いつの時代も勉学だけでなく、学ぶ人はスポーツも突き詰めたりして凄いなと思います。
    賢いなと思うのは、どんな人の話も丁寧に聴いてくれるところ。これは共通してる私から見た賢さの基本です。
    聞き上手、理解力上手もtetsuさんと似てるので次回彼が帰国したら是非とも!!

      • Tetsu
      • 2017年 8月 01日 8:32am

      是非飲みたいですな。

    • 岩ちゃん
    • 2017年 7月 31日 8:41pm

    経済にも手を出しましたか(笑
    毎日濃い内容ですね~さすがですね~。
    公共事業に加えて、中長期的な所得増加に向け、教育にも支出(投資)してほしいものですね。

      • Tetsu
      • 2017年 8月 01日 6:30am

      コメントありがとうございます。まだ手をだしますよぅ。

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