インフレとデフレの違いから経済を考える。
経済の指標はいろいろある。その中でいわゆる「物価」と呼ばれる指標から導き出されるのが、「インフレ」と「デフレ」という現象である。両者は似ているように見えるが、その内容は全く違う。生活に直結するこの指標について考えてみた。是非ご覧を。
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1.インフレとは?デフレとは?
デフレとは「デフレーション」の略であり、インフレとは「インフレーション」の略である。
簡単にいえば、
・物価が下がる傾向が続けば、「デフレ(デフレーション)」
である。経済学における定義づけで、こうした現象を言う。
定義としては至って単純である。
2.良いインフレと悪いインフレはあるが、デフレはすべて「悪い」!
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インフレ・デフレと両者現象が定義づけられるが、その結果の効果はまったく異なる。一般的に言われるインフレ・デフレの効果は以下の通りである。
・賃金が上昇し、経済が活性化される。
・物価が上がりすぎると、実質的に物を買うことが困難になる。
【 デフレの効果 】
・賃金が下落し、経済の停滞を引き起こす。
・失業が増える。
インフレ・デフレについてのいろいろな解説を見るが、一番単純に生活に着目して説明すると
「インフレは給料が上がり、デフレは給料が下がる」
ということが言える。そして、インフレとデフレではその深刻さは全く異なってくる。
インフレにはいろいろな種類があり、経済学的にその分析もなされている。インフレが急激に進むことを「ハイパーインフレ」というが、どのような現象かの説明やその対策は研究されている。インフレをコントロールすることが重要である。
また、ほどよく経済は成長し続けることが一番良く、それが人々の生活を豊かにしつつかつ、活力のある経済となる。すなわち、緩やかなインフレが続くことが一番経済にとっていい状態、である。
しかし、デフレについては全く異なる。デフレに対して適切な対応を経済学的には深く研究は進んでいない。また、デフレはいったん入ると「デフレがデフレを招く」という現象に陥りやすい。いわゆる「デフレスパイラル」である。こうなってくるとその地域・国の経済は大きく停滞する。である。デフレの唯一の対策は、デフレを起こさないこと、と言ってよい。デフレはそれほど経済を停滞させていくのである。
経済学の難しい経済指標の話のように聞こえるかも知れないが、経済の状況は人々の生活に直結し、その人や国の未来に大きく影響を与える。先行きが暗い状態で、子供を産むことはしなくなるし、人々の心もすさんでくる。仕事がなければ治安は悪くなっていくし、人々の生活の質であったりモラルの低下を招く。経済とは生活に直結するものであり、その最も重要な指標の一つとして物価が言えるのである。とにかく、「デフレの状況が続くと深刻な経済停滞が進み、生活や治安が悪化していく大きな原因となる」ということを知ることが重要である。
3.日本の物価指標の推移
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では日本の状態はどうか見てみたい。物価にはいろいろあるが、国の物価を見る上では「消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)」が使われる。CPIにはいろいろな計算方法があるが、あるHPからの引用を示したい。
下記は「消費者が購入する際の商品およびサービスの価格(全国)」を確認し、その値「持家の帰属家賃を除く総合(年平均)」の推移をグラフ化したものである。(引用元:ガベージニュース)
計算方法はいろいろあるので難しいが、大切なのはその「推移」である。こうして見れば、1990年代の後半から現在に至るまでの、いわゆる「失われた20年」という年代に物価の上昇がほとんど無いことがわかる。「デフレ」と言える程の状況ではないのかも知れないが、あまりに低成長であり「デフレ」に近い状況と言える。このように経済の停滞は、物価(CPI)からも読み取れる。
なお、CPIには種類がいろいろある。その中で、価格の変動が激しい生鮮品を除いた物を「コアCPI」といい、更に価格の変動が激しいエネルギー関連の価格の変動を除いたものが「コアコアCPI」である。特にこの「コアコアCPI」が消費者物価として適正と言われている。その推移を示す。
こうして見ると、いわゆる「失われた20年」の日本は、ほぼ「デフレ状態」にある。先進国で唯一と言ってよい。先に述べたとおり、デフレということは、給与が増えず、先行きが暗意という状態が続いていると言うことである。「少子化」の原因の大きな一つと言って間違いないだろう。
4.デフレ下の経済状況とは?
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デフレの経済状況とは、かくも問題が大きい。給料は増えないし、企業の業績は上がらない。それにより失業が増え、となると結婚もできないし、子供を作ることもためらってしまう。それがまさに、「デフレ経済」なのである。今の日本が陥りつつある状況は、まさにデフレ経済の状況とほぼ一致する。
デフレがあるから少子化になるのか、少子化が進んでいるからデフレになるのか、そのスタートはどちらかということははっきり言えないだろう。しかし、「デフレ」が経済を停滞させ人々の給料を減らしていき、先行きを暗くしていることは間違いない。この状態では、どんな経済対策を打っても効果は半減以下となる。経済政策としてまずはデフレを脱却すること、それこそが全てに優先されるべき経済政策なのである。
デフレ下で財政を健全化するとか、雇用対策をするとかいう目標を持って政策を実行しても、インフレ下で行う時に比べて、同じ事をしても効果が全然違う。人間の健康で言えば、体を鍛えるための筋トレを、健康なときにするのと風邪を引いたときにするのと、どっちか効果があるか、と考えればいい。デフレという風邪を引いている時に、財政健全化だとか構造改革だとかを考えるのはあり得ない。まずすべきは「風邪を治す」ことであることは誰でもわかると思う。デフレの経済とはそういう状態なのである。
5.とにかくデフレを脱却し経済成長をしなければ話が始められない
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デフレという状態が、経済的にいかに良くない状態かを良く理解する必要がある。経済政策において、デフレにしてはいけないし、デフレの傾向が出たらあらゆる手段を用いてそれを脱しないといけない。
日本経済はまさにデフレの状態にある。ここ20年間共通してこの状態にあると言って間違いは無い。デフレ下ではどんな政策も効果は限定的になるし、景気はなかなか上向かない。また、国民の給与も上がらず国全体の先行きは暗くなる。しかし、中国を筆頭として日本が弱いことが望ましい国々(北朝鮮・韓国、そしてアメリカなど)と、増税が目的化している財務省の思惑とそれにおもねくマスコミとの癒着などにより、日本はデフレ体質を自ら作ってしまっている。また、デフレ状態というのは、資産の価値が下がっていくので、今現在で資産を持っている人の方が有利となる。すなわち、デフレは今の資産家にとっては望ましい状態、といえる。
こうして日本のデフレはある種の既得権益として固定化してしまっている。これを脱する方法はいくらでもあるにもかかわらず、有効な政策がなかなか打たれない。それどころか、移民の受け入れによる賃金の低下・消費税の増税という、デフレを進ませるとしか思えない政策が進もうとしている。
「デフレは悪だ」と国民全体の議論になる事が最も重要と思う。しかし、日本では完全に間違った認識がすり込まれている。デフレを脱却するには「経済成長」をしなければならないが、むしろそれを「悪」とする、完全に間違った認識がある。
マスコミなどの嘘にだまされず、正しい知識で物事を正しく見る目を、しっかり養いたい。
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