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経済には道徳が必要である!江戸時代の石田梅岩の言葉から、現在の日本人の「真の働き方改革」

石田梅岩

経済(商売)には道徳がなければならないと、江戸時代から説いていた石田梅岩ばいがんの言葉から、現在の日本人の目指すべき「真の働き方改革」、すなわち働き方」・CSR(企業の社会的責任)を考えよう!

今回は、江戸時代中期の石田梅岩ばいがん先生の言葉と人生を取り上げたい。その言葉は、今の日本人ほど聞くべき内容と思う。公認会計士として、会計はもちろん経済学や経営学をそれなりにかじった私が、「日本人が学ぶべき経済(学問)はこちらじゃないか」と思う。是非、ご一読を。

1.石田梅岩ばいがんの言葉

石田梅岩ばいがんと言っても、聞いたことがない人が多いと思う。江戸時代の中期の人(貞享2年:1685年 ~ 延享元年:1744年)で、京都に生まれ、呉服屋で働く中で「働くこと」を徹底的に考え学んで、教えた人である。石門心学せきもんしんがく」の祖として、世に「働くこと」とは何かを説いた人だった。
その言葉は、現在の日本のみならず世界に通じるものである。そして本来の日本的経営あるいは日本人の「働き方」を説明しているものに他ならないと思う。
まずはその言葉を見ていきたい。

「石田梅岩が語ったこと」山岡正義氏著
「石田梅岩が語ったこと」山岡正義氏著

商人といえども、人としての道を知らずに金もうけをし、しかも不義の金をもうけるようなことがあっては、やがては子孫が絶える結果を招きかねない

『石田梅岩ばいがん都鄙とひ問答」』城島明彦(現代語訳)

上記の言葉一つとっても、いかに「金もうけ」というものが「動議(モラル)」をあるいは「道」を持った上で行われなければならない、と石田梅岩ばいがんが考えていたか伝わる現在の世の中でよく思われる「金を持ったものが勝ち」という考えは、江戸の時代から否定されていたのである。
「不義の金をもうけることは、子孫が絶える結果を招く」まで言っている。現在の日本人として、この言葉をどのように受け取るべきだろうか。

『真の商人』は、相手もうまくいき、自分もうまくいくことを願うものである

『石田梅岩ばいがん都鄙とひ問答」』城島明彦(現代語訳)

この言葉もまた、「商人」あるいは「企業」そして個人のあるべき姿を説いているように思う。とかく「自分がうまくいく」ことばかりになっている現代社会で、「相手もうまくいき」と江戸時代の人が言っている。我々日本人は、江戸の心を忘れていないだろうか?

心底から子々孫々を愛する気持ちがあるなら、まず人としての正しい道を学んで家業が栄えるようにすべきであろう

『石田梅岩ばいがん都鄙とひ問答」』城島明彦(現代語訳)

もうけよりもまず「人としての正しい道」がある、という、石田梅岩ばいがんのこの言葉も非常に重い。現代はとかく、「金もうけした人が偉い人」という風潮があるが、それを真っ先に否定している。この言葉を言える人が、現在にいるのだろうか?我々は学ぶべき方向を見直すべきではないだろうか?

2.石田梅岩ばいがんとは?

石田梅岩先生
石田梅岩先生

石田梅岩ばいがんは、江戸の中期の1685年に現在の京都の亀岡市に生まれて、60歳で人生を終えている。もともとは、京都の呉服屋で働くいわゆる「商人」であったが、「モノを売る」あるいは「商売をする」ということに対してどうあるべきかを突き詰め、後に「石門心学せきもんしんがく」と言われる「哲学」として考えをまとめていった。

20年世話になった商家を離れ、、1729年(享保14年)45歳で自宅に講席を設け、生涯を布教に努めた。梅岩ばいがん講義は受講に際して紹介が一切不要、かつ性別も問わない無料の講座であった。まさに「情熱の人」であった。
幕末の吉田松陰よしだしょういん先生の「松下村塾」ももちろん有名だが、江戸時代にはそれに先んじて私塾を設けていた石田梅岩ばいがん先生のような人がいたことを、今の日本人は知っておきたい。

石田梅岩先生 生家 京都府亀岡市
石田梅岩先生 生家 京都府亀岡市

そして、驚くのが江戸時代におけるその広がりである一介の商人に過ぎなかった梅岩ばいがんに教えを請おうとした、51藩の大名がいたと言われ、国(幕府)公認の学問所が220に対して、梅岩ばいがんの私塾が全国に180箇所近くもあった
いかに江戸時代の「民度」が高かったか、を思い知らされる。

江戸時代と石田梅岩
江戸時代と石田梅岩

もともと、江戸時代には「商人」は「金もうけの汚い人」というとらえられ方をしていた。そこに対して一石を投じるとともに、一方で「あるべき商人」を説いた人である。現在でいえば、「あるべき経済」と言っていい。
石田梅岩ばいがんの考えはその死後も広がり、石門心学せきもんしんがくは全国に広がった。明治維新における日本の産業革命の原動力、とまで評されるに至る。

現在の日本はどうだろうか?江戸時代ほどの「哲学」が今の日本にはあるのだろうか?

3.グローバリズム経済と石田梅岩ばいがん

現在は「グローバリズム経済」と言われる。「資本主義」と広くいってもいいが、結局は「金をもうけたものが勝ち」という、ひどくあさましく空虚な言葉に思えてならない。
「株主資本主義」とも言われ、企業は「利潤」のみを追い求めることが目的かのように言われる。そしていつのまにか「個人」も「金をもうけたものが勝ち」という考えに至ってしまっているかのように見える。

本来「金を稼ぐ」というのは、「手段」であるはずだった。生きるため、あるいは何かを達成するために「金」があるのであって、「金」のために「個人」あるいは「企業」の人生がある訳ではないはずである。
しかし、この当たり前が、「金」が目的になって逆転してはいないだろうか?
いわゆる「手段の目的化」の典型になっていないだろうか

手段の目的化
手段の目的化

石田梅岩ばいがん先生は私財を投げうってまで塾を開き、そして江戸時代にそれが広がっていった。やがてそれが明治維新の原動力となり、現在の日本を作っている。そう考えれば、現在の日本人が学ぶべきは、「グローバル経済」とか「資本主義」とか経済学とかではなくて、こうした日本の先人たちが「学問」にまで育ててくれた考え方なのではないだろうか

石田梅岩ばいがん先生がまとめた「石門心学せきもんしんがく」こそ、現在の経済学として日本人として学び受け継いでいくべきもののように思う。

4.現在こそ、日本は石田梅岩ばいがん先生の考えに学ぼう!

私は、亡父から「哲学は大切だ」と幼少のころから言われ続けた。「哲学」の意味も分からないまま聞いていたその言葉は、今になり身に染みる。

哲学なき経済(経営)はあり得ない」、明治維新の福沢諭吉渋沢栄一も、昭和初期の松下幸之助出光佐三も、皆、言っている言葉である。そして、さかのぼって江戸時代には石田梅岩ばいがん先生のような人もいた。
日本には、十分すぎるほどの教科書がある。西洋の経済学や経営学を学ぶのもいいが、我々の身近にいた日本の先人達から学ぶことは、現在こそ光り輝いているように思える

石田梅岩ばいがん先生の言うように、「人の道を知らずに金もうけ」をするような人にはならないよう、先人達の知恵を学んでいきたい

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コメント

    • ゆうじ
    • 2022年 7月 21日 7:53pm

    てつログ再開、嬉しい限りです。 ついつい関連記事も懐かしく見ていました。てつさんに教えてもらった「海軍五省」を、毎日省みながら、私も上を向いていこうと思います。これからも「振気ブログ」を楽しみにしています!

      • てつ
      • 2022年 7月 21日 8:46pm

      コメントありがとうございます!

      石田梅岩先生などを知ると、改めて、日本を見つめ直すことが日本を元気にすることと思いますね。
      安倍元総理の「日本を取り戻す」の言葉が重く感じられます。

    • 今井達也
    • 2022年 7月 21日 10:26am

    ご無沙汰しております。
    今井です。

    仰る通りですね!外を見るより内を見よですね。

    これからも情報発信、楽しみにしておりますので、よろしくお願いします^^

      • てつ
      • 2022年 7月 21日 4:10pm

      今井さん、本当にご無沙汰しております!
      コメントいただき、光栄です。

      本当に、我々は日本人は尊い先人に恵まれているので、しっかりそこから学びたいですね。
      下を向きそうになるニュースばかりですが、しっかり上を向いて先人達に恥じないように生きたいです。

      どんどん記事を書いていくので、是非、読んでやって下さい!

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