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「前へ」 ~明治大学ラグビー部 北島監督(故)の哲学~

スクラム

明治大学のラグビー部監督だった北島監督の言葉「前へ」に思うこと

最近はなかなか見れていないが、私はラグビーが大好きである。そのラグビーで、大学ラグビーで明治大学を長らく引っ張ってきた北島忠治監督の言葉「前へ」を取り上げたい。読んで字のごとくだが、私が20歳の頃に出会ったこの言葉は心に深く残っている。当時の明治大学のラグビーは、あまり好きではなかったが、この言葉だけはなぜか頭から離れないでいる。

1.ラグビーでボールを「前へ」進ませると言うこと

ラグビーはルールが複雑そうに見えるが、非常にシンプルなスポーツである。相手ゴールにボールをつければ得点となる(トライ)。そして、そのボールを「前へ」運ぶ手段は非常に限られている。

ラグビー(ジャパン)
ラグビー(ジャパン)

なぜなら、まず第一に「前にボールを投げてはいけない」ためである。ボールを前に投げたら、「スローフォワード」という反則となり、相手方のボールとなってしまう。
では、蹴ればいいのか、と思うかも知れない。しかし蹴った場合には、その蹴った選手より前にいる味方はボールを取ってはいけない。蹴った人が蹴った後にその人達を走って追い抜いたら、ボールを取る権利が得られるが、そうでなければ蹴った人より前にいる味方はボールを触ると反則となる。

故 北島監督
故 北島監督

ではどうやって「前へ」ボールを運ぶのか。自分で持って前へ走ればいいが、すぐにタックルに合う。そこで、一番確実なのがスクラムを組んで周りを固めて、皆で一直線に進んでいく事といえる。それが、私の知る明治大学のラグビーの哲学であった。

「前へ」と常にこだわった北島忠治監督は、とにかく強いフォワードを意識した。フォワードによるスクラムでボールを前に運ぶことが、最も確実であるとして「重戦車」といわれる明治のフォワードを作り上げ、確実にボールを「前へ」と運んだ。

2.「前へ」にこだわる明治の伝統と、ラグビーのスタイルの移り変わりと

スクラム
スクラム

私が最もラグビーをよく見ていた1990年代には、明治はとにかくフォワードでスクラムを組んで相手を押しながらボールを前へ運んだ。このラグビーが本当に見ていてつまらなくて、明治は強かったが全く好きなチームではなかった。

一方で、「展開ラグビー」としての早稲田大学、当時ものすごい勢いだった法政大学などは、スクラムで押すのではなく、走りながらパスを回すというラグビーで力をつけていて、法政大学は最強といわれた明治のフォワードを翻弄し、勝利を得た。この試合は今でもはっきり覚えている。

ラン

世界的に見ても、フォワードで少しずつ前へ出るラグビーより、走ってパスを回しながら前に進んでいく方が主流となっていく。見ている側も非常に分かりやすく、躍動感があるため、ルールそのものもそうしたラグビーになるように変更されていった。

3.「前へ」

しかし、年を取ったせいなのか、それとも昔から実は好きだったのかはわからないが、当時は積極的には好きと思えなかった明治大学ラグビーのスタイルとその精神を、よく思い返す。どんなに「前へ」行く事が困難でも、とにかく進むことのみを見つめて着実に「前へ」進もうと考えるこの言葉は、シンプルだが深く心に刻まれている気がする。

仕事をしていても、人間関係の中でも、自分の健康でも、うまくいかないこと、思った通りにいかないことは多い。しかし、そんなときにくじけずに、すこしずつでも着実に「前へ」行く気持ちを持ち続けようと、心を奮い立たせる。

何が「前」かわからなくなることもある。それでも「前へ」の気持ちは忘れずに、大切にしたい。闇雲に進むときもあるが、気持ちだけは「前へ」を大切にし、情熱を持ちながら進んでいきたい。この言葉にはそんな思いを強く感じると同時に、北島監督の思いをふと想像したりする言葉である。

「前へ」たとえ少しずつ一歩ずつでも「前へ」
自分なりにしっかり着実に進んでいきたい。

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