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「国の借金」の嘘と実情

国の借金

「国の借金」という嘘と、日本経済の実情を考える

今回は、「国の借金」について記述したい。

(動画でのポイント解説)

1.何十年も変わっていない「国の借金が日本を滅ぼす」報道の嘘

国の借金が日本を滅ぼす」という言葉には、明確な嘘が2つ入っているのと、1つの真実を隠している
この事実を日本人全員が共有すべきと思う。結果から言えば、日本は財務的に全く「危険な国」ではなくむしろ世界有数の「資産超過国」なのである。

記事は少し古いかもしれないが、よく出るニュースである。昔からのニュースで、私も学生時代にこの手のニュースを見て、本当に日本はこれから破たんしていく、と心配したものである。しかし今は、この手のニュースは、見出しの時点で見る気も全く起らなくなった。
まったく、事実を説明していない。あえて言うなら、ある種の目的を持った「嘘」とすら言いたい。事実はそんなに単純ではないし、またそんなに暗いものではない。日本経済はもっと自信を持つべき状態である、というのが私の今の認識である。

「2つの嘘」とは、「国」と「借金」の言い方である。明らかに間違いを誘導するようにこの二つの言葉を意図的に使っている。
そもそも「国の借金」というが、ここで言っている「国」とは何か、「借金」とは何か。「国」とは政府であり「借金」とは国債の発行残高のことである。つまり「国の借金」と表現しているものは「政府の国債残高」のことである。この時点で勝手に言葉をすり替えている。
また、なぜ「政府の国債残高」を国民一人あたりいくらか計算する必要があるのか、まるきり意味がわからない。自分が勤めている会社の借入金の額だけ見て、「この会社は借金が多いからダメだ」と思う人はいるだろうか?ましてや、従業員一人当たりでいくらの借金をしているか、などという何の意味もない計算をするのだろうか?

2.「国の借金」と言われるものの正体と、存在が報じられない「国の資産」

先に述べた「隠している一つの真実」とは、「日本には負債だけでなく、それ以上の「資産」がある」と言うことである。

では、百歩譲って記事の通り「国」(日本政府)が「借金」(日本国債)を返せないならどうなるだろう。日本国債を買う人はいるだろうか?ギリシャと同様に国債価格は暴落するはずである。しかし、日本の国債の価格は上がり続けている(図は10年物国債の先物価格推移)。買いたい人が多いからである。また、日本の上空をミサイルが飛んでも「安全資産」と言われ「円」が買われるような国の国債が暴落することは考えられない。それくらい、日本(円、国債)は世界で信用されているということを、経済の事実が示している。
日本政府が国債を返せなくなれば国家破たんである。その状態になることは、国債だけの話ではない。それを何十年も同じ論法で、国債残高だけ切り取ってずっと言い続けている財務省・マスコミは、いつまで嘘を言い続けるのか、と思う。何十年も前から「このままでは破たんする」と言い続けて、破たんしたのか、と言いたい。「あなたはもうすぐ病気になります」と言って変なツボを売りつける、不安商売の類にしか見えなくなってきた。

では、なぜ日本経済が信用されているのか。経済的な説明は少し複雑だが、一つ言えば、借金だけ見て判断することは間違いであることは言える。借金たる負債があり資産がある。簿記の常識である「国債」は発行する政府にとったら「借金(負債)」だが、それを買った人にとったら「資産」であるしかもそれを圧倒的に保有しているのは、日銀である。更に、ノーベル経済学賞のスティグリッツ教授のいう「統合政府(Unified Government)」の考えに立てば、政府と中央銀行を一体(連結会社)と見る。中央銀行すなわち日銀は、国債を実に500兆円も持っているので、政府の負債たる国債と、日銀の資産たる国債を相殺すれば、その時点で半分になるのである。更に、政府の資産は非常に大きい。借金という名の、「政府の国債残高」はあくまで一部を見ただけで、政府及び日銀も統合して考えれば、全然見え方は変わってくる。
もちろん、簡単に相殺できるかといわれるとそれほど単純ではないが、ここで言いたいのは、

● 「国債残高」を「借金」というのは嘘。
● 政府の国債残高だけについて議論しても全く意味がない。
● 資産のことが議論から全く抜けている。

ということである。
そのあたりは、上念司氏、高橋洋一氏、三橋貴明氏、宮﨑哲也氏、田中秀臣氏などの論を是非見てほしい。(→「日本は世界一位の政府資産大国(高橋洋一:講談社+α新書)」、「財務省と大蔵省が隠す本当は世界一の日本経済」(上念司:講談社+α新書)」

地上波テレビに出されないが、まともな経済を語る人は皆言うことは同じである。この前「ザ・ボイス」というラジオで、「なんでこんな簡単なことがわからないのか」と、あの森永卓郎氏が言っていて印象的だった。

3.嘘ばかりを広げる財務省の思惑

では、なぜそんな嘘を言うのか、その意図は何だろう。そこで出てくるのは、間違いなく財務省と言わざるを得ない。他ならぬ元財務省の官僚である高橋洋一氏が「財務省が意図的にやっている」と、繰り返し言っている。
確かに国債残高が増え続けることはいいこととは言えない。やはり、借入依存は良好とは言えない。そこを財務省が、その部分だけ切り取って不安をあおって「増税」をする口実にしたいのである。また、「アベノミクスの失敗」と言って、安倍首相を退陣させたい勢力もそれに乗っている。結局彼らの結論は、「消費税増税」か「安倍退陣」で、それらを実現したくて、ねつ造しているとしか思えない。
前にもふれたが、財務省は「国が滅んでも増税をしたい」とまで言われ、特に消費税を上げることに、異様な執念を燃やす組織となってしまっている。そして、その財務省の意を受けた、政治家・マスコミ・学者が、本当に知らないか、わざと、事実の一面しか言っていない、と思わざるを得ない。

4.「国の借金」という名の国債残高を減らすには

ではなぜ政府の国債残高が増えるのか。一言でいえば、政府の支出が、政府の収入たる税収を上回るからである。となれば、政府の支出を減らすか、税収を増やせばいい。しかし、政府の支出を減らすのは、うまくやらないと景気が悪くなり結局税収も下がる。一方、税収を増やすべく消費税を上げればこれまた景気を下げて税収を下げる。景気に冷や水を浴びせすぎる消費税の影響は、かなり長期に渡るといわれる。今の低成長率で考えたら税収を上げたいのなら、景気を拡大することが大前提であり、その上でニュースを見ないとおかしくなる。

5.日本経済の指標の真実は、まったく悪くない

結局、少なくとも「国の借金」は嘘であり、日本の状況はそこまでひどくない(それどころか、高橋洋一氏等に言わせれば世界一良好である)。その前提の上で、今の状況で消費税を上げることがいかに間違いか、ということが、諸氏の言うことであるし、非常に説得力がある論だと思う。

一部の事実だけしか見ていないと、全体を見誤る。今、いろいろな思惑で消費税を巡って言われるが、数字を見ながら正しいものを見つけていきたい、と思う。

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コメント

    • ゆかり
    • 2017年 9月 03日 4:26pm

    勉強になります!
    あらゆる知り合いに話します!!笑

      • てつ
      • 2017年 9月 04日 6:24am

      是非、話してあげて。
      あまりに新聞・テレビが、不勉強でうそばっかり言ってるから、ほんとうんざり。

    • いわうち
    • 2017年 9月 03日 7:35am

    全く同感です。
    そして分かりやすい!
    さすが、上手にまとめますね

      • てつ
      • 2017年 9月 03日 11:26am

      ありがとうございます!
      「分かりやすい」と言われると、ほんと嬉しいです。

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