日本を救うとも言えるような政治提言が出た。財務省のいいなりにならない「安藤提言」を取り上げつ。
与党側の地道な活動は相変わらずマスメディアで報道されないが、政治家の提言で素晴らしいといえる物がでた。自民党の安藤裕衆議院議員らで構成される「日本の未来を考える勉強会」が出した提言で、首相官邸に提出されている。「日本の未来を考える勉強会」は、昨年にマスコミで「魔の2回生」と揶揄されたメンバーで構成されているが、非常に真面目な骨のある議論をしていたため注目していた。非常にいい提言なのでまとめてみた。「日本を救う提言」として、是非見てほしい。
1.安藤裕(ひろし)氏という政治家
安藤裕氏は税理士である。サラリーマンとして働きながら税理士資格を取って税理士事務所を開いた後に、一転して政治家となっている。平成24年(2012年)に衆議院議員に初当選し、その後平成26年(2014年)、そして前回の平成29年(2017年)にも当選し、現在3回当選の「若手」議員である。
去年にマスコミの政治家の下らないたたき方として、自民党の『魔の2回生』というのがあった。安倍首相を叩くための一つのスローガンであり、安倍首相が返り咲いた後(平成24年)に初当選したメンバーを指す。その時の選挙は自民党が圧勝した年であり、初当選が大量に出た選挙だった。その中で、いわゆる「ゲス不倫」の宮崎謙介議員、「このハゲ~」の豊田真由子議員など、話題性のある不祥事があったため、テレビはこぞって「魔の2回生」などとレッテルを貼って、馬鹿にしていた。野党も同じである。
しかし、そうした程度の低い議員は別として、日々勉強を積んでいた議員がきちんといる。「日本の未来を考える勉強会」という勉強会はそうした自民党の平成24年の当選組などが集まったものであるが、非常に中身の濃い勉強会と議論をしている。ネットでその勉強会の様子などがある。内容は非常に勉強になるものばかりである。
しっかり仕事をしている政治家はきちんといる。残念ながら、野党にはほとんどいないが・・・。
しかし、マスコミは意図的に全く報じない。政治家の悪いところや悪い人ばかりを取り上げて喜んでいる。これで正しい政治ができるだろうか?会社でも学校でも人の悪口ばかり言う人の言うことを、信用出来きるだろうか?
ここで取り上げる提言は、この「日本の未来を考える勉強会」から出たものである。中心人物の一人、安藤裕議員は、さすがに税理士らしく非常に経済に明るい。安藤氏の考えを聞いたことがあるが、経済をよく熟知した正しい議論であり、経済音痴の政治家とは全く違う物を感じている。話を聞いても、非常に勉強になり、また納得がいく議論をしてくれる。
私が活躍を期待し、注目している政治家の一人である。
2.「骨太方針」とは
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安藤氏の提言の前に「骨太方針」について述べないといけない。「骨太の方針」は小泉純一郎首相の時に始まったもので、官僚主導ではなく政治主導での経済運営をするために、「経済財政諮問会議」により経済政策を決めていくものである。安倍内閣でも行われていて、現在の正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」であり、2018年版は6月15日に正式に閣議決定された。
これにより、政府の方針が見えてくるため、非常に重要なものであるが、内容はひどいものであったと言わざるを得ない。主なものを挙げると以下のとおりである。
① 消費税の増税を、2019年10月と明確にした。
② 消費税増税による財政出動を行う、などまったくちぐはぐとなっている。
③ ありもしない「財政危機」に対しプライマリーバランスの黒字化目標の時期を外したことはプラスだが、全く無根拠な目標として「2025年にプライマリーバランスの達成」という物が入った。
④ 外国人労働者の更なる積極雇用が明示された。
⑤ 女性などの雇用を増やすことばかりがいわれ、成長戦略に対する具体的・明確な方針が見られない。
とにかく、①の消費税増税は間違いなく日本経済を奈落の底に突き落とす。2019年10月となると、翌年は東京オリンピックとなる。ただでさえオリンピック後は確実に景気が冷え込むにもかかわらず、そんな時期に増税するなど正気の沙汰とは思えない。しかも、消費税の増税はかなり長く景気に負の影響を与える。消費税率をアップすることで、法人税・所得税を中心に他の税収は間違いなく減る。また、それにより景気が冷え込めば給与は確実に減り、景気は更に冷え込む。財政再建のために消費税率を上げると言っているのに、税収が減るのがわかりきっていることをなぜやるのか、全く理解できない。といっても、そもそも「財政再建」自体が不要のため、議論自体が全く無意味としか言い様がない。
④の外国人労働者の件は、私が安倍内閣で最も不満のところである。ここまで外国人労働者を入れる必要があるのか?日本人の給与を上げることが先であり、外国人労働者が入れば入るほど、日本人の給与は構造的に上がらなくなってしまう。外人が悪いとはいわないが、今の日本の経済状況で、外国人労働者を入れるほどの余裕はないはずである。
「骨太方針」の内容も変なカタカナ用語がならび、非常にわかりにくい。いろいろな調整が入ったためのようであるが、本気で日本経済を牽引していく物とは到底思えないものである。下記にpdfファイルのリンクを張っておく。日本の未来に直結するものである。pdfで原文を見られるので、興味のある方は是非見てほしい。
➡経済財政運営と改革の基本方針2018(内閣府発表)
3.自民党若手議員がおこなった提言の内容
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今回の「骨太方針」は非常に注視していた。しかし、そうしたお先真っ暗の「骨太方針」が出たことで、これからの経済状況に対して、全く希望が持てないところであった。安倍内閣は支持するが、経済政策、特に消費税及び財政政策に関しては、あまりに財務省にゆずりすぎているように見える。とはいえ、ここまで財務省に物を言う内閣は安倍内閣以外で見たことはないが、安倍首相のリーダーシップならもっと押し切れると思う。消費税率のアップはなんとしても止めるべきだし、今は政府は投資をすべきときで「財政出動」を積極的にしないといけない。
そんな中で、この「骨太方針」を受けた上での、先の安藤氏の所属する『日本の未来を考える勉強会』から、「デフレ完全脱却による財政再建に向けた来年度予算編成についての提言」が出た。正直あまり期待してはいなかったが、見事に日本の問題点をとらえ、何が優先すべきかが明示されている。また、具体的な提言も非常に分かりやすい。また特にすごいのが、先の「骨太方針」を受けて、というスタンスで、「骨太方針」に矛盾しないようにした上での、日本経済の成長戦略がまとめられている。
下記にpdfファイルのリンクを張っておく。先の「骨太方針2018」と違い、文書はA4で5枚程度で、非常に読みやすい。是非、しっかり働いている政治家の成果として、見てほしい。
➡「デフレ完全脱却による財政再建に向けた来年度予算編成についての提言」
簡単にまとめると以下のとおり。
① 消費税の増税はデフレリスクを助長する。そのため、軽減税率の範囲を増やしその際の税率を8%から5%から下げるべき。
② 財政出動を積極的に行い、現状では「プライマリーバランスの黒字化」は考えずに、政府が景気を後押しする。
③ 長期的な経済成長のための「財政運営」の方針を構築すべき。
①は、消費税を増税することはやむを得ないが、軽減税率を一気に広げむしろ減税に持って行くというものである。そもそも上げなくていい、というのが私の考えだが、政治的にどうしても無理であれば、この方法は非常に面白い。ヨーロッパなどは消費税の税率は高いが、非課税の範囲が非常に大きい。あえて日本に当てはめるのなら、この提言にあるような手当をすることで、ヨーロッパ型に近づくと共に、景気に対してむしろプラスの影響を与えることが出来る。
②の提言はばらまきに見えるが、内容を見ると非常によく考えてあって興味深いものである。これらを実施すれば日本の経済成長が見える、と思われる物が上手にまとめてある。
③については、まさに今の日本に必要な議論である。財務省が大蔵省時代から言っている「日本財政破綻論」は、それこそ破綻している。私が子供の頃から言われ続けた議論であり、その頃から更に「国の借金」と言われる「政府国債の残高」は増え続けているのに、一向に破綻しない。この話が嘘の証拠である。詳細は過去記事( ➡「国の借金」にまつわる嘘を、資産(B/S)の観点から斬る!)を是非ご覧を!
その嘘を認めた上で、確かに多い国債依存の体制について検討することは是非行われるべきである。
4.「安藤提言」に対する官邸の対応
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こうした提言は、それなりに首相官邸には上げられることが多い。しかし、今回は異例のことがあった。それは、首相官邸のホームページの「首相の一日」の中で、わざわざ安藤氏の提言が動画付きで取り上げられたのである。これは、役職のない議員に対する対応として異例中の異例とも言われる。
安倍首相は、もともと消費税の増税には懐疑的な人と言われる。ただし、政治の世界での駆け引きの中でどうしても上げるということが前提になっているのを、今までなんとか押しとどめたというのが実情と思う。今回も上げる必要を感じていないと思われている中で、こうした首相官邸の行った行為は、大きなメッセージとなり得る。消費税率のアップは既成事実のように積み上げられているが、なんとかこうした方法でもいいので、経済にプラスになる方向性で進めてほしい。
5.突破口としてほしい「安藤提言」
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提言内容の文書は決して難しい物ではないので、是非読んでみてほしい。真面目に仕事をしている政治家はきちんといる。すさまじく低次元となってしまっている国会をよそに、特に与党議員にしっかり問題に取り組んでいる人はいる。ただし、そうでない人も山ほどいるが・・・。
一方、「森友・加計」しか言えない野党・マスコミは、レベルの低い話で安倍首相を誹謗中傷するだけの能力しかない。見るのも不愉快なので、こうした骨のある議論ができるように猛勉強するか、政治の場から消えてほしい。また、政治家は、こうした提言がまとめられるくらい勉強しなければ存在意義がない。
こうした、「正しい仕事をしている」国会議員を応援することが、いい政治に導く事になると思う。そして引いては、日本経済も良くなると思う。「安藤提言」は実際に採用される可能性は厳しいだろうが、「盛り上げる」ことで、意外に政治の世界は動く。
地元の政治家に直接電話して、「安藤提言を」という事をするだけでも効果が大きいそうである。当事者である国民の一人として、「良いものは良い」として、応援していければと思う。
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