- 2019-3-17
- 金言・格言
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昭和初期の海軍で掲げられた「五省(ごせい)」から学ぶこと。
旧帝国海軍時代の昭和初期に、海軍の「五省(ごせい)」と言われる言葉がある。今も海上自衛隊の幹部候補生は就寝前に必ずこれを思い一日を「省みる」という。決して「軍人」だけのための言葉ではない。この言葉について、是非見てほしい。
海軍の「五省(ごせい)」とは
海軍の「五省」とは、下記の5つの「心得」を総称したものである。
この言葉は、昭和の初期に海軍で掲げられた『訓示』に近いものである。それぞれ、読み方と意味は以下の通り。(海上自衛隊 幹部候補生学校 ページより)
【誠実さや真心、人の道に背くところはなかったか】
二 言行に恥づる なかりしか
【発言や行動に、過ちや反省するところはなかったか】
三 気力に欠(缺:か)くる なかりしか
【物事を成し遂げようとする精神力は、十分であったか】
四 努力に憾(うら)み なかりしか
【目的を達成するために、惜しみなく努力したか】
五 不精に亘(わた)る なかりしか
【怠けたり、面倒くさがったりしたことはなかったか】
読んでどう思われるだろうか。普通に読めば、どれも含蓄のある言葉であり心に響くものにしかみえない。現在にも通じる、自分に対する「問い掛け」と思える。しかし、これに対し「軍国主義的」といった批判がある。しかも、昭和初期の当時でも「海軍になじまない」、という批判もあったそうである。全く理解に苦しむが・・・。
「五省」の「省」は「反省」の意味もあるが、「省(かえり)みる」という意味を持つ。この5つの言葉は、まさに自分を「省みる」上でシンプルで「的を得た」言葉に思う。
海軍候補生は学生の頃のみならず、卒業後もこれを教訓にする人もあるという。リーダーを教育するコンサルタントのある人は、これを毎日寝る前に5分思い返すといい、と指導するそうである。
自分なりにこの「五省」を改めて読むと、私にとっては特に
「三 気力に缺(か)くる勿(な)かりしか」
を強く思う。いつも自分なりの模索をしながら仕事に生活にいそしんでいるが、「気力にかけることがなかったか」「物事に対する精神力は十分だったか」という自省は、自分の基準としては痛いところである。
そして、改めて読んでこの中で最も大切と思うのは「至誠」である。自分なりの「至誠」とは何か、常に見つめたい。
少し漢字を調べてみた。
缺る(かける):一部分が壊れる。必要な物が足りない。
憾み(うらみ):残念に思う。物足りなく思う。※「恨む」とは少し異なる
亘る(わたる):範囲や期間をまたぐ。※物理的な「渡る」とは少し異なる。
こうした言葉を、寝る前にでも毎日復唱してみようと思う。
リーダーでなくとも、サラリーマンとして、社会人として、また一人の大人として、こうした言葉を復唱し毎日を「省みながら」大切に過ごせればと思う。「言葉の力を借りながら」日々を大切にし自分で省みながら過ごしてみることも、人生を豊かにすると勝手に思っている。
この「五省」を毎日やってみようかと思う今日この頃である。
コメント
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三は、「振気」にも通じるところがありますね。出向中もあり、毎日を振り返っていますが、今日から「五省」での切り口も加えてみようと思います!
たしかに。橋本左内の「五訓」に通じるものはありますね。どちらも味があっていい言葉と思いますな。