「在庫」の考え方の「発注方式」を生活に取り入れて考える。「ツービン方式」の活用法!
在庫の理論にある「発注方式」として「ツービン方式」というものがある。非常にシンプルな考え方でかつ、効果も大きい。こうした「学問」を生活にも活用すると、また勉強が面白くなる。私は「料理」において「ツービン方式」をよく考えて使っている。「発注方式」の解説とその個人的活用をまとめた。是非、ご覧を。
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1.「在庫」の考え方は会社だけでなく、家庭にこそあてはまる!
「在庫」というとどうしても「会社や工場の話」という印象を持つと思う。「在庫」という言葉からそのような印象を持つかもしれない。
しかしつくづく思うのは、「家庭」にこそ「在庫の考え方」があてはまるものが多いように思う。むしろ家庭においてこそ「在庫」の考え方は適しているのではないかと思う。生活にも応用することで、生活を違った角度から見せてくれると感じる。
「在庫の考え方」というと堅苦しく、難しく感じるかもしれないが、それほど複雑なものではない。ここでは、特にわかりやすく管理にも優れている「ツービン方式」を家庭の「料理」の上で当てはめて、考えてみたい。
個人的に私も実践しているもので、是非、考え方を紹介したい。
2.「料理」こそ、「在庫」の発生・消費の「最前線」!
家庭での「在庫」を考えると特にその典型が、「料理」と思う。ただし、私の思う料理とは単に「調理する」だけではなく、買い物からスタートしそれを上手に使うことも含めて「料理」と考える。としたときに、料理こそ在庫の理論が求められる。
食材や調味料がいろいろある上に、ほとんどのものは「劣化」を生じるため、買うのと同時に消費を適切に行わないといけない。しかも、特に「冷蔵保存」は「冷蔵庫」という限られた場所の範囲でやりくりしないといけない。しかも、それをほぼ毎日行わないといけない。
まさに、料理は「在庫」の発生・消費の「最前線」と言える。
家庭での「料理」における「在庫」に関する事柄の例を挙げて、「在庫の考え方」に言葉を変えてみた。
・いつ食材を買うか
→ 発注(購入)日はいつにするか?
・これからどれくらい使って、どれくらいの量を買うのか
→ 発注(購入)量はどれくらいが最適か?
・冷蔵庫に入るか
→ 在庫としての保管場所は十分か
〇 この食材は遠いスーパーでたまにしか買えない。
・1回にどれくらい使えばいいか
→ 発注(購入)の頻度に応じた使用の検討
・忘れないために、定期的に買うくらいの量はどれくらいか
→ 発注日(購入日)のスパンの検討
〇 買ったものが腐ってしまい使えなくなってしまった。
→ 在庫の保管状況はよかったか
→ 発注(購入)量は適正だったか
→ 発注(購入)頻度をみなおすべきか
など、会社や工場でおなじみの悩みは、家庭の料理にたくさん詰まっている。もちろん「在庫」の考えがなくても、それを無意識に進めるのだろうが、ここに「在庫の考え方」を加えると、また違って見えてきて面白い。そして、効率的な買い物と購入ができて、出費を抑えられるかもしれない。
3.在庫を考えることは、すなわち「発注を考えること」
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ここで、「在庫」について考えることを単純化したい。
在庫の考え方はいろいろな方向性がある。「発注の頻度」「発注の量」「発注のタイミング」「在庫保管の方法」「物流のコスト」「保管状況のチェック」等々、多岐にわたる。確かに、企業や会社がコストを検討するうえでは、「在庫」という考え方は広く考えないといけない。しかしここであえて乱暴に言えば、一番重要なのは「発注」(個人では購入)である。
発注はすなわち「仕入」だが、個人では普通に「購入」と考えればいい。そしてなぜ「発注」が大事かと言えば、当たり前のことだが「買わなければ物は入らない」ためである。
「『入り』の管理なくして在庫管理はなしえない」、ということである。物を買い過ぎれば在庫は増えて保管が難しくなるし、買わなければ足りなくなって生産や消費に問題を生じさせる。「いつ買うか」「どれくらい買うか」という「発注行為」は在庫管理の根幹と言っていい。これは、個人でも会社でも、大企業や工場でも、すべて同じである。
4.種々の発注方式
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では「発注」(個人では「購入」)が重要ということになる。発注は大きく2つの要素がある。
① いつ買うか(時期、あるいは「発注頻度」)
② どれくらいの量を買うのか(発注する量)
この2点を議論し考察したのが「発注方式」である。上記の①発注頻度、と②の発注量、の最適を見つけることは重要である。ここでいう「最適」は、「在庫量を持ちすぎず、欠品しないギリギリの量で管理する」といっていい。
発注方式はいろいろあるが、典型的な物としては3種類挙げられる。3つを見ていきたい。
① 定期発注方式
あらかじめ決めた一定の期間に応じて発注する。例えば毎週2回、とか月に一回といった決め方をして発注する方式。
「定期」ということで、時期が先に決まり、その時期に在庫を見て「発注量」を決める。
② 定量発注方式
在庫量があらかじめ決められた一定量になったときに、一定量だけ発注する方式。
発注の日を決める「量」は一定だが「発注日」は在庫状況に応じて変わってくる。
③ 2ビン(ツービン)方式
在庫を保管する容器を「2セット」用意し、1セットがなくなったらそのセット分だけ1セット発注する方式。
「定量発注方式」の変形版だが、こちらは視覚的に見やすいため発注が漏れにくい。
どれも感覚的に理解できるものと思う。実際の生活では、なんとなしに意識している事だが、理論的に分類すると上記のようになるようである。なお、これらは必ずしも画一的に考える物では無い。それぞれの方法を組み合わせて、工夫される。
5.ツービン方式(ダブルビン方式)を考える
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ではここで、「料理」における「ツービン方式」を考えてみる。ここでいう「料理」とは食材の購入から含めたものである。
といっても考え方はいたって単純で、単位はいろいろだが、いつも「ふたつ」あることを意識して、そのうちの一つがなくなったら、その分だけ購入する。
・卵を常に「6個入り2パック」冷蔵庫にある状態にする。1パックなくなったら、1パック買う。
・牛乳を常に2パック冷蔵庫に入れておく。1パックなくなったら、1パック買いに行く。
・ミネラルウォーターの箱詰め(2ℓ×6本)を2箱置いている。片方の箱が完全になくなったら、もうひと箱買いに行く。
たったこれだけのことだが、これがなかなかわかりやすくて良い。いつ買うのか、どれくらい買うのか、あまり考えなくていい上に、「欠品」の危険がない。
そしてもう一つ大きいのが、「保管場所が常に一定になる」ということである。先の例で言えば、卵は常に「2パック」ある。だから、卵を保管する場所も自動的に一定の位置になり、それがルールとなる。ただ、買いに行く間だけは1パックになるが・・・。
「ツービン方式」は具体的に考えてみると、単純だがメリットが非常に大きい。買いに行く時期がすぐにわかるし、「欠品」が生じることがない。そしてきちんと守れば、「保管する場所がない」と悩むこともない。
この「ツービン方式」のポイントは、2ビンの「単位」である。先の例では、ミネラルウォーターは「1箱(6本)」で一単位とした。これは、その買いに行く頻度と置く場所とのバランスを考えて決めたもので、「1箱」を一単位として考えた。こうすると2箱分の場所を常に用意しておけばいい。
2ビンの「単位」を工夫すれば、買いに行く頻度も保管場所も大きく変わってくる。ここが工夫のしどころと言える。
6.「だし」を取る頻度は? ~ツービン方式の変形バージョン~
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私は、料理に鰹節での「だし汁」を使う。しかし、これを料理の都度やっていては面倒が大きい。ある程度作り置きして、冷蔵庫に保管して使う。
では、どれくらい作り置きをするか?だいたい4日に一度くらいにしたかったので、「2日分」の入る「ビン」を2本買った。その上で、いつだしを取るか、というのは、全部なくなった時にしている。だしをとるのは大した時間を取らないので、だしを「取りたて」で使えるなら使いたいためである。一回だしをとるごとに「2本」のビンがいっぱいになる。
だから、厳密に「ツービン方式」というわけではない。ただ、その時に意識しているのが、「空いたビン」の保管場所である。「今、だしがどれくらい残っているのか」というのはよく忘れる。とはいえ、その都度冷蔵庫を見るのも生産性がない。
そこで、だし用のビンは常に一番見やすいところに置いた。すると、1本なくなったら(1本の空のビンがあれば)、次にだしをとらないといけない日がもうすぐということがわかる。
大したことではないかもしれないが、このように「在庫状況を見やすくする」と「漏れ」がなくなるのと、意識が生まれる。純粋な「ツービン方式」ではないかも知れないが、在庫管理という意味ではこれも「ツービン方式」の活用と思って意識しながら、料理の準備にいそしんでいる。
7.在庫の考えを家庭にも使っては?
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このように、家庭で考えても「在庫」の考え方は十分にあてはまる。。
是非、こうした考え方も日々の中で少し意識したら、また違った見方ができて面白いと思う。
そして、世の男性に、買い物も含めた「料理」をするといろいろ学べる!と料理をすることを強くお勧めしたい。
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