- 2018-9-7
- 金言・格言
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「5%や10%の改善は、 時には50%の抜本的改革よりもっと難しい。~」松下幸之助氏の言葉に思う
松下幸之助氏の言葉を取り上げたい。松下幸之助氏は、今なお「経営の神様」とまで呼ばれる人で、その名言は多い。「松下電工」という今のパナソニックの前身を作った人で、戦後の日本を支えたまさに功労者の一人である。その松下氏の言葉で「改善」に関するものを取り上げたい。
1.松下幸之助氏の言葉
数多くある松下幸之助氏の言葉の内、「改善」に関わる言葉を挙げたい。
5%や 10% の改善は、時には 50% の抜本的改革よりもっと難しい。
それは 50% の改革が現状否定からスタートするのに対し、5%や 10% の改善は現状肯定からスタートするからである。
松下幸之助氏は、今なお「経営の神様」とまで呼ばれる人で、その言葉は非常に含蓄のあるものばかりである。その言葉を集めただけでも、何冊も本が出来る。
その中でも、私が仕事をする上で、よく使わせてもらうのがこの言葉である。
正直に言って、後段の「それは 50% の改革が~」という、「現状否定」と「現状肯定」のところは、今の私の考えにはそぐわない。しかし。この「5%、10%の改善は、50% の抜本的改革よりも難しい」という考えは非常に理解できる。私なりの理解は、
ということである。それこそ何かを変えたり改善しようと思ったら、「コストを半分にする」あるいは「売上を倍にする」などといった発想からスタートしないと、なかなか根本的なアイデアは出てこない。5%や 10%変えよう、という発想では、物事を動かすときのきっかけとして力が無く、成功しないことが多い、というのが私の経験からの考えである。
2.「今を変える」という発想の重要さと危険さ
特に仕事において、「今を(やり方などを)変える」という発想が生まれること自体、今のやり方に何か無理であったり、不効率であったり、時代に合わなかったり、という「原因」がある。すなわち「10%変える」という発想自体が問題を矮小化してしまう気がする。
そういった「原因」に対して対応策を考え何かを変えようというのなら、前の方法は大きく変わるべきである。その覚悟を持って臨まないのなら、もともと「変える」という発想自体が嘘だった、と認識するべきと思う。すなわち、松下幸之助氏の言葉にあるとおり「50%の改革」の覚悟がなければ、「改善」あるいは「変える」と言うことにすらならない。それくらいの意欲を持って初めて、物事は変えられると思う。
ただし、いろいろなところでシステム等を用いた改善活動をしてきた私として、一つ絶対に心がけていることがある。それが「今を変える」と言うことに対する「危険」の認識である。
ということである。
確かに、過去のやり方や考え方がそぐわない、あるいは問題となることがあって、それを変えていく要因となる。しかし、過去には過去にそのルールなりが出来た「原因」がある。それを認識せずして、次の改革はない、と思っている。
今は変えるべき対象となったとしても、そうした過去のルールややり方の「意義」をしっかり理解してから、次の方法を考えないといけない。
ともすれば、「今を変える」ことそのものが目的になってしまうことがある。いわゆる「手段の目的化」であるが、これこそまるきり意味が無い。時間と労力を注いで、むしろ悪くなることも決して少なくない。そうしたときは「過去の否定」であったり、「今を変える」ことが目的化してしまった場合に起こりやすいと思う。
「今を変える」という大きな誘因は不可欠であるが、同時に「過去に学ぶ」という慎重さも重要と思う。
3.動かすときには、50%を変えるくらいの覚悟で!
とはいえ、「今を変えよう」という意欲なしに、物事が変わることはない。その上で、松下幸之助氏の言う「5%10%の改善は時には50%の改善より難しい」を勝手に意訳して
と読み替えて理解している。
そして、その際には先に述べたとおり、「過去に学ぶ」という慎重さを常に心がけて行動したいとも思う。
コメント
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おっしゃる通り!「今を変える、今を改善する」と自分が思うことはもちろん、そういう集団になるよう、部下へ言い続けようと思います。
「変えること」はなかなか勇気がいりますが、必要なときにはためらわずに行きたいですな。
「大胆かつ慎重に」の気持ちで進めたいところです。