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第一次政権とは全く異なる「辞任表明」から安倍首相の功績とその後の影響を考える(2020/8月現在)

安倍首相

突然の「辞任表明」の安倍首相。第一次政権の時の違いと共に、安倍政権の功績とその後の影響を考える(2020/8月現在)

つい先日の令和2年(2020年)8月28日に安倍首相の辞任表明の記者会見があった。まったく予測もしていなかったので本当に驚いているが、第一次政権の辞任表明とはまったく違う認識の自分に気づく。速報ベースではあるが、安倍首相の辞任表明から、安倍首相の功績とその後について考えた。是非、ご覧を。

1.第一次政権とは違う令和2年(2020年)8月28日の「辞任表明」

8/28安倍首相辞任表明
8/28安倍首相辞任表明

安倍総理の辞任会見が令和2年(2020年)8月28日に行われた。記者会見があることは知っていたが、まさかこのような内容になるとは予測も出来ず、仕事中にその内容を聞いて、本当にびっくりした。

会見も見て、先ず真っ先に思ったのは、「本当にお疲れ様でした」ということと「ありがとうございました」という気持ちだった。「次に誰がなるのか?」、「安倍首相がやり残した事はどうするんだ?」と思うことはあるが、あのすさまじいまでの重責と激務を7年もこなしたことに、心より敬意を感じる

安倍政権の政策には、許せないものもたくさんあるが、この7年もの間、最初はボロボロの日本と難しい世界情勢の中で、安倍首相でなければ出来なかったことも数々成し遂げてもらった。内容は後に述べるが、一国民として、国を引っ張る重責を見事進めてくれた安倍首相に感謝と敬意を感じずには居られない。
中学生の頃から政治に興味を持って常に見ている自分としては、この令和2年8月28日は忘れられない日になると思う。

第一次政権の辞任表明(2006年)
第一次政権の辞任表明(2006年)

そして、ふと思い出したのが「第一次政権の辞任表明」の日の事だった。
もう13年も前になるのかと思う。、平成19年(2007年)の9月12日に突然飛び込んできたそのニュースは、同じく仕事中に聞いた物だった。
この日の情景は忘れられない。安倍首相にものすごい期待をかけていた者として、裏切られた思いでいっぱいだったし、あまりに唐突すぎて「怒り」以外の感情はわかなかった。「二度と安倍晋三氏という政治家の顔も見たくない」と、あまり感情的に見ないようにしている私でも思ったことを、本当によく覚えている。その後、ほとんどニュースを見る事が出来ないくらい、嫌な思いをして投げやりの気分になったことを、鮮明に覚えている。

それを思い出したとき、今回の安倍首相の「辞任表明」に対する自分の感覚が全く異なることを、自分で思い知らされた。先にも書いたとおり、今回も唐突の印象を受けるが、

① これだけの長期に渡り、歴史上類を見ない実績も出しながら職責を担ったことに対する敬意と感謝
② 前回と違い、「次を狙える」状態での辞任

ということがあり、「ありがとうございました」という言葉が自然に出てくる辞任表明だったように思う。とはいえ、安倍首相自身も日本のその後も心配は尽きないが・・・

「速報ベース」だが、安倍首相の功績を簡単に見ていくと共に、次の政権を考えてみたい。

2.安倍晋三首相の「晋」は高杉晋作公の「晋」!

まず、私の個人的思い入れから話しておきたい。安倍首相の出身は山口県であり、山口県と言えば幕末で大暴れした「長州藩」である。歴史上、維新回天(明治維新)は日本の大きな転換点で有り危機の時期だった。それを引っ張った大きな原動力が、長州藩であり、安倍首相の出身の県である。

山口県と安倍首相
山口県と安倍首相

というと、単なる場所の問題か、と言われるが、安倍首相は郷土の生んだ国士ともいえる「吉田松陰先生」を尊敬していて、そしてその門下生として最有力だった「高杉晋作公」にも大きく影響を受けている。安倍晋三首相の「晋」は高杉晋作公の「晋」に由来している
以下は、2006年10月26日の安倍首相のメルマガである。

こんにちは、安倍晋三です。

 総理大臣に就任して1カ月。息をつく暇もなく、国会に、外交に、そして内政に激走する日々が続きました。改めてその責任の重さを実感していますが、日々緊張感をもって任務に励んでいます。

 さて、明日10月27日は、私の郷里が生んだ偉人、尊敬する吉田松陰先生の命日です。刑死される前日、安政6年(1859年)の今日、26日、松陰先生は、徹夜で遺書といえる留魂録(りゅうこんろく)を書き上げました。

 「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂」

 その冒頭に書かれた辞世の句、ここに込められた気概には圧倒されます。

 松陰先生は、松下村塾で若者たちに、志を持たせる教育を行いました。ここから巣立った塾生たちが明治維新の原動力となったことは、みなさんもよくご存知だと思います。
 その一人高杉晋作は、身分を問わずに組織した奇兵隊を立ち上げ、新しい日本への改革の動きを加速させました。士農工商の身分がはっきり分けられていた150年も前の日本にあって、出自を問わず、誰もが改革に参加できる機会を与えたことは画期的だったと思います。

 ちなみに、私の名前「晋三」は、高杉晋作に由来しています。

 次代を担う若者や子どもは社会の宝です。志ある国民を育て、品格ある国家をつくるためには、教育が大切であることは、いつの世でも、どこの国でも変わりありません。家族、自分たちの住む街、国、そして命を大切にする豊かな心を育てる教育、それができる教育力の再生が何よりも必要です。

安倍首相のメルマガ(2006/10/26より

吉田松陰先生の数々ある言葉の中で、私も大好きな、
「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂」
(現代誤訳例)
私の身が武蔵の地で朽ちてしまおうとも、大和魂だけは留めておきたいものだ

を取り上げていたことは、本当に嬉しかったし、そうした考えを持ってくれている政治家なんだと、深く信頼した。

そして、私の最も尊敬する「高杉晋作公」への思いは、その名前に含まれていることを知り、安倍晋三氏という人への興味と信頼は大きかった。(高杉晋作公については過去記事の ➡高杉晋作による「功山寺決起」に見る「決断力」と「覚悟」もご覧を!)
安倍首相がそうしたバックボーンのある人であることは、今も信頼している大きな要因である。吉田松陰先生や高杉晋作公のように、改革をしながらも日本の歴史の重さをしっかり知り大事にした人達を尊敬するのなら、信頼できると思ったし、今も思っている。

3.突出していた安倍首相の功績

(1) これだけ諸外国からの信頼を得た首相が歴史上いたか?

安倍首相の功績で、私が最も特筆すべきと思う点をあえて挙げるとすれば、「諸外国との信頼関係を築いた事」を挙げたい。

安倍首相をよく知る人からは「戦後の総理の中でも最高の首相」と言われたりもするが、私は、戦前を含めて、明治維新後の伊藤博文公から始まった内閣の中でも、安倍首相は突出していたと思う。その最大の要因が、「諸外国からの信頼」を得たことである。これをうまく出来る政治家をトップに持っていれば「大東亜戦争(いわゆる太平洋戦争)」はなかっただろう。それほどの功績なのである。

まず第一には、あのトランプ大統領との信頼関係である。これはヨーロッパ諸国ですら出来なかったことだし、これをうまく出来る人は政治家だけでなくビジネスマンでも何人いるのか、と聞きたい。まさに「余人を持って代えがたい功績」と言っていい。
そしてトランプ大統領とだけ仲良く、ではないところが、安倍首相のすごいところである。インドのモディ首相ロシアのプーチン大統領イスラエルのネタニヤフ首相トルコのエルドアン大統領、と並み居る「独裁者」とも言える強力なり-ダーが安倍首相を信頼している。このような政治家、いや日本人はいただろうか?

2019年8月のサミット
2019年8月のサミット(ニッポン放送NEWS On Lineより

なんとG7のサミットは「安倍首相が取り仕切っていた」と言われるほどである。並み居る欧米のトップと堂々と主張しつつもそれを切り盛りする政治家は、私の知る限り日本の歴史上いなかったと思う。

これだけ交通や物流、経済が発達しグローバル化する中で、世界との連携は不可欠である。トップ同士の良好な関係は、そのまま国に、国民に直結する。それが出来なければ日本の国益を大きく害する。そしてやはりアメリカとヨーロッパとの連携は日本は特に重要である。それが出来なかったのが、「大東亜戦争」の時である。その時を考えれば、安倍首相がそれを上手に担ったことは、計り知れず日本に利益をもたらしている。
繰り返しになるが、このような政治家を、私は自分の知っている範囲でも歴史の勉強の範囲でも、見たことがない。

(2) 「日本」という国を思い、歴史を知っていた数少ない総理大臣

安倍首相の「晋三」の「晋」は高杉晋作公の「晋」というエピソードにあるとおり、「戦後の日本」だけではなく、古くからの日本を深く知り、意識した政治家だった。後半は「移民法」など、疑問符が付くことが多かったが・・・

靖国神社への参拝は、昔は必ずやっていた。総理大臣になって一度だけ参拝してやめてしまったことは、本当に残念だし不満であるが、それでもその気持ちを持っているとは間違いなかった。

硫黄島の空港で説明を受ける安倍首相
硫黄島の空港で説明を受ける安倍首相

しかし私が決定的に安倍首相の人柄に感動したのは、硫黄島での安倍首相の行動である。詳しくは過去記事(➡安倍首相の硫黄島(いおうとう)の訪問から思う~「硫黄島の戦い」と遺骨収集~)を見て欲しいが、先人に対する思いをこれほど自然にする総理大臣の姿を見て、本当に嬉しかった。「空港の道路の下」にあるであろうご遺骨に対して、自然にひざまづいていた姿勢には深く深く感動した。マスコミは全く報じなかったが・・・。

また、アジア諸国への歴訪もすごかった。なかなか報道されなかったが、あれほど精力的に諸外国を周り、日本の存在感を示した首相は見たことがない。2017年のフィリピンダバオの訪問の映像は、感動したし、日本人として本当に誇らしく思った。短い映像なので是非見て欲しい。

「総理大臣とはこうあるべき」という背中を見せてくれていたのでは、と思う。続く人が是非出てきて欲しい。

(3) 実はChina(中国)への警戒を強く持っていた総理大臣

政権の後半には非常に不満だが、それでも、実はChina(中国)に対する警戒は常に持っていて、実行ある政策も行っている人だった。これも、是非継続して欲しいし、継続してくれなければ日本も世界もひどいことになる。

セキュリティダイヤモンド構想
セキュリティダイヤモンド構想

具体的に挙げ出すときりがないが、特に言いたいのは「セキュリティダイヤモンド構想」といわれる「安全保障の構想」である。(➡「中国脅威」の事実と日本の現状から、対策を考える(2017/11時点)

セキュリティダイヤモンド構想」というのは、日本・アメリカ・インド・オーストラリアでの連携した安全保障の構想を言う。それはすなわちChina(中国)への大きな警戒感から来るもので、安倍首相は首相になる前から持っていた考えである。
そしてそれは、今、トランプ政権におけるアメリカの戦略となっている。同盟国であるアメリカを説得し動かすほどの構想を、日本の総理大臣が出しているのである。

China(中国)べったりの政治家が多い中で、China(中国)に明確に対する脅威を認識している数少ない政治家の一人であることは間違いない。ただ、後半は「China(中国)より」となってしまった印象があるが、実はその本質は変わっていない。NSC(国家安全安全保障会議)でも実は、対China(中国)への布石は少しずつは打っている。報道されないが、安倍首相は「親中」ではない。

(4)マクロ 経済についての理解を持っている数少ない政治家

安倍首相の功績として、もう一つ、必ず挙げたいことが「経済に対する認識力の高さ」である。

私は専門家ではないかも知れないが、公認会計士として経済を見てきた。経済学もそれなりに勉強し、少しは知っている立場と思っている。その観点で見ても、「経済の仕組み」を知っている数少ない政治家の一人と思う。

「日本は財政赤字で破綻する」などという財務省のまったくの嘘とデタラメは、安倍首相はしっかり知っている。だからこそ、消費税の増税を2度も延期した。これは間違いなく安倍首相でなければ出来なかっただろう。とはいえ、「2度も増税した」のも事実だが・・・。

マクロ経済において、政府の行う「財政政策」と主に中央銀行が行う「金融政策」はしっかり連動していないと経済はうまくいかない。すなわち日銀との連携は不可欠なのだが、比較的それを意識して行った政権だったと思う。だからこそ、経済がうまく回った。

安倍政権の経済運営は、最初だけでその後はどんどん「緊縮財政」「増税路線」となったため、個人的には不満も大きい。しかし、政治はそんなに簡単にいかない。あえてそうした不満を抑えて考えてみると、やはり安倍首相の経済認識は信頼に足る物があるように思っている。そもそもの「経済の仕組み」を理解しているように見える。

これは、私が経済においてまったく信頼している高橋洋一氏のアドバイスを聞いていることからも見える。高橋さんの的確な認識を、どうやったら政治に落とし込めるのか、そうしたことを考えながら政策を進めていたと思う。

GDPは増えずデフレも脱却していないので結果はあまり良くないが、少なくとも、経済を知っている政治家であり総理大臣だったと思う。

4.次の総理に最も重要なのは、「トランプ大統領率いるアメリカとの連携」

安倍首相とトランプ大統領のゴルフ(官邸ツイッターより)
安倍首相とトランプ大統領のゴルフ(官邸ツイッターより)

なんといっても、トランプ大統領との信頼関係は、歴史に残ると言っていい功績をと思う。単に「アメリカの言いなり」になったのではなく、言うべきことは言いつつ、トランプ大統領との信頼関係を築いたことは、日本にとって計り知れない利益をもたらしたと断言できる。見た目には派手ではないが、政府同士のやりとりをする上で、トップの仲がいいというのは、間違いなく大きなプラスである。会社でも、部署の部長同士が仲がいいか悪いかで仕事のやりやすさは全然変わると思う。国でも同様である。

私が喫緊で最も心配するのがこの点である。「アメリカ従属」などという国になって欲しくはないが、現在において「国際協調」はどんな大国でも不可欠である。そしてその中で、最強のアメリカと「真の信頼関係」を築くことは日本に計り知れない利益をもたらす。日本の政治課題として最も重要と思う。

今のChina(中国)は歴史上でもナチスやスターリンをも超えかねない状況になってきた。アメリカと日本が協力してこれに対抗することは、世界史においても重要な局面と言える。安倍首相並み、とは言わない、しかし、安倍首相を教科書としてトップとなる人はこの点を最も重視して欲しい。

5.【次への課題】緊迫する課題はChina(中国)!そしてそれをきっかけに日本の立て直しを!

とにかく、最も巨大な課題は「China(中国)の脅威にどう対応するか」である。武漢コロナは既に見えている病気である。この状態において、とにかく注意すべきはChina(中国)の横暴をどう倒すか、である。

進む中国の東南アジア進出
進む中国の東南アジア進出

その上で、次の政権、というより日本の政権の課題は、はっきりしている。

① トランプ大統領率いるアメリカとの連携
② 宮家の復活による皇統の安定化
③ 消費税の減税などによる、GDPの復活とデフレ脱却
④ 憲法改正
⑤ スパイ防止法の制定

上記のような課題を「China(中国)の脅威を前提にして」進められる首相(政権)であって欲しいし、そうでないといけない。

6.まだ活躍できる安倍晋三氏に期待!

先にも書いたとおり、自分の感覚として、第一次政権の辞任表明の時のような「怒り」や「絶望感」は感じない。安倍首相は「治療に当たる」のであって、議員を辞めるわけでもない。まだ65歳という若さである。

個人的には安倍首相に対する不満として、「後継者の育成」を言いたい。必ずしも安倍首相がやるべき事とは思えないが、結果として次がいないことは残念だし、あえて「安倍首相の責任」と言いたい。

なぜなら、これからやって欲しいからである。これは「首相の立場」である必要はない。一議員として、そして「歴史に残る功績を残した元首相」として、是非後進の育成に当たって欲しい。
いい意味での「安倍派」が出来ないだろうか?いっそ「安倍新党」ができないか?と考えてしまう。

7.安倍首相の辞任から思うこと

安倍首相の辞任のニュースは、本当に不安が大きい。しかし自分の中で、第一次政権の辞任表明の時とは全く異なる事を感じる。

安倍首相は「余人を持って代えがたい」と言えるが、こればかりは仕方がない。安倍政権は功罪あるとは思うが、功績の部分は歴史上でも最高の首相と思う。次の人は、是非それを引き継ぐ意思がある人になって欲しい。

そして安倍首相には、「本当にありがとうございました」ということと、「しっかり療養してください」ということを、国民の一人として敬意を持って思う。是非、治した後に再度「安倍イズム」を引き継ぐ人を育てていって欲しいし、それに期待したい!

本当に、お疲れ様でした!ありがとうございました!!

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コメント

    • 優子
    • 2020年 9月 05日 2:02pm

    私もこのニュースを聞いてビックリしました。虎ノ門の方でさえ辞任は有り得ない、と仰っていたので。でも本当に本当に素晴らしい日本が誇る首相ですね。とにかくまた元気になって日本を支えて欲しいです。
    「品格ある国家」。安倍さんのこの言葉、好きです。そうなる為に微力ながらも意識して生きていかなければ…

      • てつ
      • 2020年 9月 05日 5:42pm

      そうだねぇ。安倍首相にはいろいろ不満もあるけど、やはり日本の歴史に根ざした「国家観」を持っていた数少ないトップと思うわ。
      次以降の人が、軒並み「国家観」がないからほんとに幻滅するけど・・・。

      いい人はいるから、必ずその人達がトップに出てこれるように、応援しよう!

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