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『正しいもの同士のあらそいはとめようがない』(マンガ「火の鳥(太陽編)」より)

マンガ「火の鳥(太陽編)」での『正しいもの同士のあらそいうはとめようがない』というセリフとそのシーンに思うこと

マンガのセリフを取り上げたい。「マンガの神様」と言われる手塚治虫先生の代表作品の筆頭とも言っていい「火の鳥」からのセリフを取り上げる。深い歴史の認識にも基づいたこのセリフは、若い頃の私にとっていろいろ考えさせられるものだった。非常に深いシーンと思う。マンガ「火の鳥」の紹介も含めて、是非ご覧を。

1.「太陽編」での火の鳥のセリフ

ここで取り上げたい「火の鳥」のセリフには、事前に説明が必要である。「火の鳥」とはシリーズを通じた架空の「鳥」であり、あるいは「神」とも言える存在で、不老不死の鳥を言う。不老不死で時代をまたぎ、その時々の世を見て導く役割を「火の鳥」が担っている。

その「火の鳥」が壬申じんしんの乱」で悩んでいる主役に対して語りかけるのが、今回取り上げるセリフである。「壬申じんしんの乱」はいろいろな側面があるが、マンガ「火の鳥」では宗教戦争(仏教×土着の神々)という側面をクローズアップして取り上げている。
主なセリフは以下の通り。

【火の鳥】
「・・・人間は・・・どこかで宗教のむごいあらそいをおこすんです。」
「きりがなんです。とめようがありません。」

【主役】
「きりがないって?」
「なぜなんですか?」
【火の鳥】
「それはねぇ、宗教とか人の信仰ってみんな人間がつくったもの」
「そしてどれも正しいの」
「ですから 正しいものどうしのあらそいは とめようがないでしょ」

まんが「火の鳥」(太陽編)より
マンガ「火の鳥」(太陽編)より
マンガ「火の鳥」(太陽編)より1
マンガ「火の鳥」(太陽編)より2
マンガ「火の鳥」(太陽編)より2

「火の鳥」はこれに続いて、「悪いのは宗教が権力と結ばれた時だけです。」と伝えている。

この後主人公は、自分が守ろうとしている「土着の神々」を散々痛めつけている「仏教勢力」に対して、「断じて正しいとは思わないぞ!」といって、自分が守ろうとする「土着の神々」と共に戦う事を決意する。

このワンシーンは、大学生の頃の私の心に深く残った。
正しいものどうしのあらそいは とめようがない」という、火の鳥のセリフは非常に考えさせられる物だった。そして、それを聞いて納得しても自分の信じる物を守るために「断じて正しいとは思わないぞ!」と決心を固める主人公の行動は本当に心に残った。
歴史を好んで学ぶ者として、いろいろな局面で考えさせれられるきっかけを私に与えてくれた気がする。

2.マンガ「火の鳥」と「太陽編」

「火の鳥」と、ここで取り上げる「火の鳥」の「太陽編」について、少し説明したい。

手塚治虫先生
手塚治虫先生

火の鳥」はあの手塚治虫先生の代表作の一つである。「マンガの神様」と言われた手塚治虫先生が1954年~1986年に描かれたもので、亡くなる直前まで描いたといわれる。手塚治虫先生の代表作の筆頭にあげられる作品である。

私が、「火の鳥」に接したのは、私が大学に入った頃(1992年頃)で、ものすごい衝撃を受けたのをよく覚えている。もともと、手塚治虫先生のマンガは、「ブッダ」「ブラックジャック」などでよく読んでいたので、手塚マンガへの親近感はあった。
それらのマンガも素晴らしいのだが、この「火の鳥」は、私の中ではそれらを遙かに超えて、ものすごいスケールのマンガに見えた。夢中になって読んだのをよく覚えている。

兵庫県宝塚市の「手塚治虫記念館」にある「火の鳥像」
兵庫県宝塚市の「手塚治虫記念館」にある「火の鳥像」

ここで紹介するのは、その「火の鳥」でいくつかあるシリーズのうちの「太陽編」である。単行本では3巻に渡る長編で、「過去」と「未来」とを行き来するストーリーになっている。

「過去」の方は、日本の古代の頃で「壬申(じんしん)の乱」(672年)の頃の話である。古代の話として「白村江(はくそんこう)の戦い」(663年)から始まるが、舞台の中心は「壬申じんしんの乱」である。
そして「未来」の方は、近未来での新興宗教による「革命」の運動の話である。

こうした「過去」と「未来」をまたぎながら、物語は進んでいく。

3.「太陽編」での「壬申(じんしん)の乱」

この「火の鳥-太陽編」は壬申じんしんの乱の頃を描いている。
壬申じんしんの乱は、天皇の即位を争う戦いで肉親同士の争いとなった。第38代の天智(てんじ)天皇からの次の天皇即位で起こった争いで、第40代の天武天皇に移るときに起こった抗争である。

第38代の天智天皇の次に即位する予定であった天智天皇の息子の「大友皇子(おおとものみこ)」と、天智天皇の弟の大海人皇子(おおあまのみこ:後の天武天皇)との争いだった。
その一コマも紹介したい。

日本書紀にも書いてあると言われる戦争中の雨のシーンである。すさまじい雨と雷の中の進軍で、大海人皇子が天に祈ったらすばらしい「日」が出た。それを見た大海人皇子は、「太陽」こそ我が信仰、とし、「日をあがめる国として、日の本の国」として国を作る、と決意する。

火の鳥「太陽編」より3
火の鳥「太陽編」より3
「火の鳥(太陽編)」より4
「火の鳥(太陽編)」より4
「火の鳥(太陽編)」5
「火の鳥(太陽編)」5

この「太陽編」は、少し歴史的に理解が難しい「壬申じんしんの乱」を見事に理解しやすく描いている。そしてまさにこのときに勝利した大海人皇子(おおあまのみこ)は第40代天皇陛下として即位し後に「天武天皇」と呼ばれる。
このときに「日本」と命名したと言われる、元号を始めたのもこの天武天皇である。まさに、神武天皇以来の「第二の建国」とも言える功績を残した人である。
手塚治虫先生の見方ではあるが、「火の鳥」ではそれが見事に描かれている。

このように「火の鳥」は「太陽編」のみならず、こうした古代の文献に基づくストーリーを描いているものもあり、わかりやすい。古代の日本を手塚治虫視点で見ることは、非常に勉強になる。「火の鳥」は手塚治虫先生のまさに「大作」といえるマンガと思う。是非、お読みすることをお勧めしたい。

4.マンガ「火の鳥」と「正しいものどうしのあらそいはとめようがない」というセリフに思う

「火の鳥」は、マンガの域を超えたマンガと思っている。手塚治虫先生のものすごい情熱を感じるし、素晴らしい作品と思う。

そしてここで取り上げた火の鳥のセリフは、今の世界を見る上でも大きく心に残る言葉と思う。
「正しいものどうしのあらそいは、とめようがない」という火の鳥のセリフと、それを聞いた主人公が自分の信じる物を守るという決心をした姿は、今の私にも大きく心に残っている

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